今日は『論証のレトリック』第一章の「ソフィストたちによる教育法」と題された節からの抜粋です。
ソフィストたちはさまざまな場所に人々を集めて、自分の書いた弁論を読み聞かせたのです。たとえば、アテナイでは、リュケイオン、体育場、劇場、有力な後援者の私邸などがその場所です。
ソフィストたちは、長い演説としての弁論を教えただけでなく、短い言葉のやりとりとしての問答をも教えました。
自作の弁論を受講者の手本にするというやりかたは、ソフィストによってだけでなく、法定弁論の代作を職業とするような専門の弁論家によっても用いられていました。
このような教育法はアリストテレスによって批判されます。それはあたかも靴を作る技術を教える代わりに種々の靴を与えるようなものです。しかし技術の成果を与えるだけでは、その技術を教えたことにはならないのです。