内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

夏休み日記(1)夏休み初日 ― 京舞鑑賞とポーランド人の優しさ

2019-08-03 23:59:59 | 雑感

 今日からが実質的な夏休み。酷暑は辛いけれど、気分は緩やか。
 午後、昨年春学期にストラスブールにサバティカルでいらっしゃった成城大学のO 先生のお誘いで、表参道にある銕仙会能楽堂で京舞おさらい会を鑑賞。締めくくりは人間国宝の井上八千代の舞。舞台に現れたその瞬間から会場全体の空気が凛と引き締まり、仕舞までそれが一瞬の緩みなく持続しているのが、私のようなまるで無知な素人にも感じられた。
 鑑賞後、代々木上原に千代田線で移動し、駅前の薩摩料理のお店で歓談。先生はストラスブールご滞在の後、サバティカルの後半はポーランドの首都ワルシャワで過ごされた。その間にご経験なさったお話をいろいろ伺った。それが実に興味深かった。そこには私のまったく知らないヨーロッパの姿があった。ポーランド人の優しさに心が洗われたと、いくつかの印象深い例を挙げてお話してくださった。そのお話を聴いていると、私たちは、どうしてこれほどまでに他者に無関心になってしまったのか、なにか大切なことを忘れ、それを忘れたことさえもう思い出せなくなっているのではないだろうかとの危惧を懐いた。