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通し狂言「伊賀越道中双六」第二部

2013年11月18日 17時29分54秒 | 歌舞伎・文楽
先々週に引き続き、昨日は文楽劇場へ。
「伊賀越道中双六」の第二部ということで、
「藤川新関の段」から「伊賀上野敵討の段」まで。

日曜でも夜はあまり入りが良くないなあ。
6割程度、という感じ。


「藤川新関の段(引抜き 寿柱立万歳)」

藤川に設けられた新関での物語。
志津馬と、股五郎の家来である助平への
茶店の娘お袖の対応の違いがある。

助平が遠眼鏡を覗いて、馴染みの遊女に嫉妬したり、
三河万歳が通りかかるのを見る。
その「覗いている」三河万歳を実際に舞台に登場させて踊らせる、
というのは芝居として面白いな。

義太夫、三味線はあまり印象に残っていない。


「竹藪の段」

股五郎と、御前試合で政右エ門に敗れた桜田林左衛門が通りかかる。
その後、入相の鐘で関が閉ざされた後に政右エ門も辿り着く。
追いつくために政右エ門は近くの竹藪を抜けて関所を破り、
役人に追いかけられることになる。

桜田林左衛門が股五郎の伯父で、
今は股五郎の警護をしている、というところで、
御前試合の遺恨も絡んでくるんだな。
ごく短い段であり、以降の話の設定を仕込んでいる場面、という印象。

浄瑠璃は靖大夫で、
声も出ており、活気があり、悪くなかった。


「岡崎の段」

第二部で一番重い段かな。
娘お袖を縁付ける、と言ってしまったために股五郎側になっている幸兵衛と、
その娘に惚れられ、持っていた手紙に合わせるために股五郎と名乗る志津馬、
「唐木政右エ門」と名乗れず、股五郎の行方を探るために股五郎の味方になろうとする政右エ門。

その状況で、お谷が政右エ門との間の子を抱いてやってくる。
バレては困るので政右エ門はお谷を追い出すが、子どもは幸兵衛の女房が助ける。
ここで女房お谷のクドキ。

その子どもの守り袋に「政右エ門の子」とあることから
幸兵衛と女房は「良い人質が出来た」と喜ぶが、
政右エ門は「人質をとるのは卑怯だ」と言って(実の子を)殺してしまう。
そこにお谷がやって来る、といった話。

「敵討のために全てを犠牲にする」は一つのパターンだが、
妻や子どもを犠牲にするこの政右エ門のあり方はさすがに行き過ぎでは、と感じてしまう。

嶋大夫は昔より声が出づらくなっており、
その代わりに深みが出ているか、と言われるとあまり感じられなかった。
千歳大夫は、以前に比べて感情が浮かび上がるようになっていたが、
まあ、満足とは言えないな。

人形も悪くはなかったが、良いというほどでもない。
お袖は文雀だが、やはり最初上半身の動きの大きさが気になった。
後の方ではさほど大きく使っておらず、
それで充分だと思うのだが。
勘十郎の幸兵衛はまあまあ。
第一部の平作の方が良かったが。


「伏見北国屋の段」

眼病を患っている志津馬と瀬川の隣の部屋に、林左衛門も逗留している。
志津馬の家来孫八・孫六が計略を仕組み、
林左衛門から股五郎の行き場を聞き出そうとする。

林左衛門が自分の計略が当たったと思い、
調子に乗って色々話し、志津馬を罵るあたり、
御前試合で勝ったと思った時と同じ言動だなあ。
同じ失敗をするあたりはリアルなのかも知れない。

ここに十兵衛が出てきて志津馬を妨げようとし、
志津馬に斬られて股五郎の行き先を言ってしまった罪滅ぼしをしようとする。
政右エ門もその十兵衛の漢気を受けて、
すぐに股五郎を追いかけようとはしない。
まあ、よく出来た話だと思う。

浄瑠璃は英大夫。
人形とも合い、登場人物の台詞に聞こえていた。
よく纏まっていた、という印象。


「伊賀上野敵討の段」

という訳で、最後は付け足しのようなもの。
「敵討をしない訳にはいかないでしょう」という位置づけで見ればよいと思う。


20時50分頃終演。
第一部の最後、住大夫を見終えた時のような充実感、満足感はなかったなあ。
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