昨日は雀のおやどへ。
開場２０分くらい前に着いたのだが、
下の椅子がほぼ埋まるくらいの人が、既に待っていた。
結局ほぼ満員の入り。
とは言え、５０人前後だが。
「江戸荒物」（呂竹）：△＋
荒物屋がホームセンターのようなもの、という説明。
具体的に「磨き砂」や「業務用の洗剤」といった
買いに行ったものを挙げるのも、
売られているものが具体的に想像できて良いと感じた。
声がよく出ており、はっきり喋っていて良い。
「ぺらいね」などの響きでウケをとっていた。
このネタ、別に人物がどうとかあまり気にせず、
音そのもの面白さや調子の良さで
何となく面白く感じさせれば充分なのかも知れない。
後半、微妙に間延びするところがあった。
憶えた時の切れ場だったのかも知れない。
全体に押し過ぎず、程良く自然なレベルで押してウケを取っていた。
「おい、アマ」に対する「何やねん」とか、
一人目の客の「言葉の分かる人はおらんのかいな」とか。
江戸っ子はあまりウケなかった。
もう少しクサく、江戸っ子っぽく喋っても良かったかも。
女子衆も楽しく話していた。
「なーひろはーのーつんづべなー」から「７尋半の釣瓶縄」に気付くところ、
いきなり気付いてウケを取っていたが、それはあまり好みでない。
先に「釣瓶縄」が閃き、そこから「７尋半」と分かる、くらいで自然に気付き、
「そうですつんづべなー」など、後のやり取りでウケを取る方が良いと思う。
「時うどん」（雀三郎）：○
マクラは食べ物の話など。
特に変わった話をしている訳でもないが、
アクションや必死に語る様子が面白くウケをとる。
刻限の説明など、一切なし。
ここのお客さんならば、確かに不要だろうな。
ネタは、普通と言えば普通なのだが、
喜六を濃く、しかし不自然ではないレベルで描写しており、
安心して楽しめる。
「酒を飲んできた」ということで、
都々逸なしでうどん屋に絡み出す。
店の名前は尋ねないが、
ダシが熱い、器、箸、麺、かまぼこと褒める。
うどんの食べ方はあまり「上手い」と思わせるものではないが、
そこにポイントは置いていない様子。
引っ張られたところで喜六に向き直って「ヴッ」とか唸るのは面白いな。
箸で突くのよりも押してウケを取りにいく感じ。
数えていってうどん屋が「確か九つで」と言ったのに対し
清八が一度「九つ」と受けていた。
個人的には、これは自然だし、騙す上でも良いと感じたのだが、
うどん屋がどちらが気付きやすいか、微妙かも知れない。
後半、喜六が宵から出てきた、とか、地では特に何も言わない。
最近説明過多な「時うどん」を聞くことが多かったのでほっとした。
その代わり、「今日はうどん屋が全然出ていない」とか、
「呼び止めたうどん屋がまだ湯を沸かしていない」といった状況で
刻限が早いことが表現されていた。
この「うどん屋がまだ湯を沸かしていない」ことから、
湯が沸くのを待ったり、
うどんのダシがぬるい、といったところにつながっていた。
ダシがぬるい、からい、器で切れる、箸の先が濡れている、ぐにゃぐにゃの麺、麩、と
普通に拾っていく。
食べ始めるまではその落差でウケをとるが、
中盤はあまり不味いうどんの話はしない。
（飲み干したときは「からい」と言っていたが）
もう少し入れても良い、と感じたが、
あまり入れ過ぎると「昨日と同じ」骨格が見えづらくなるので、良し悪しかな。
あとは、まあ普通に最後まで。
楽しく聞けた。
「はてなの茶碗」（文華）：○－
着物の話から。
この中で「価値を感じる人も感じない人もいる」話を出していたので、
別に絵や器の話を出さなくても良いかな、と思った。
絵の話はそれはそれで面白かったが。
ネタは、まあ普通。
油屋など、表情付けでウケをとるところがあり、
この人の芸風ではあるのだが、個人的にはあまり好みでない。
油屋が茶碗を選ぶところで、探して選ぶ動きを入れていたのだが、
少し離れた茶碗を何気なくすっと取り上げる方が
茶店の主に考える余地を与えないので、自然だと思う。
油屋が茶碗を買うために２両投げ出すところ、
「もっとあればもっと出す、これだけしかない」
といった科白がなかったように記憶しているのだが、
これは入れておいた方が良いと思う。
この科白に、油屋の一か八か賭けたがる精神や
茶碗に賭ける気持ちが出ていると思う。
茶金さんの店へ。「衣棚」を「ころもんだな」と呼んでいた。
番頭の応対から「別世界」の雰囲気が出て良い。
ずっと番頭が手を付いているところは少し違和感があった。
茶碗を見て笑うところは少し濃いかなあ。
そこまで笑う前に油屋はどつきそうな気がする。
何故番頭は笑ったんだろう。
「安物持ってきて、しかも無茶苦茶高いものと思っている」
必死な様子に笑った、くらいなのかね。
茶金さんの「店が騒がしい」、
それなりの雰囲気があって良かった。
「あんたがそうやと言う訳やない」、あまり宥める感じでもなかったが、
茶金さんの格を考えると宥める気を持つ必要もないかな。
そう言いながら「本当は強請りに来ただろう」くらいの気なのかも知れない。
３両受け取るところは、金と茶金さんとを見比べる中で、
金を見る割合を増やし、最後は３両もらう、という感じ。
あまり感情の変化は見えなかったなあ。
受け取る時に泣いて見せるのはよく分からない。
関白鷹司公、天子様の話。
天子様を白痴にする人が多いが、別にそこまでせんでも、とは思う。
油屋が茶金さんの話を聞いていくところ、
上手く省略しつつ描いていて悪くない。
５００両渡すところも（泣きはなかったと思うが）３両と同様。
後は、まあ悪くなかった。
茶金さんや油屋が「５００両持って大阪に帰る」話をした印象があまりない。
少し語順とか言い方とか、考えた方が良いかも知れない。
「口入屋」（雀三郎）：△＋
マクラは車内での話。そこから口入屋の中に入っていく。
うーん。全体に枝雀っぽいのだが、
それ程粒が立っていない、という印象。
長い独り語りが多いネタなので、そこで少し眠くなってしまった。
口入屋の場面は、まあ良かった。
女子衆で溢れ返り、それが口々に喋っているように感じられる。
「イヨーッ、ポン」も楽しい。
店にやってくる。
最初に丁稚に小言を言うのだが、
個人的には忘れていたのではなく、
他の奉公人の手前、という気持ちで言っている方が良いと思う。
あと、番頭はもっと派手にうきうきしている方が好み。
女子衆への説明。
「おじさんの方が好み」とか女子衆が言っているようなフリを入れていたのだが、
これを入れると「一方的に番頭が喋っている」感じが弱くなるし、
どこで女子衆が奥に入ったのか、と疑問に思ってしまうので、
入れない方が良いと思う。
「頭が薄い人が好み」とか言わせてウケをとっていたが、
このようなウケの取り方はあまり好みでもないし。
女子衆の言い立ては、最初、調子に乗るまでで少しトチリがあった。
きちんと立て直すところは流石だが、
ちと勿体ない。
番頭の「今日、店早仕舞い」があまり効かなかった。
ここが効かないと辛いなあ。
最悪、小拍子打っても良いと思う。
後の丁稚連中のうだうだは良かったのだが。
その後の「まだご飯食べてぇしまへん」は枝雀のものが一番良いと思うのだが、
そこまで切れさせてもいなかった。
違う方向を目指しているのだと思うが、ちと半端な感じもする。
這っていくところ、見つかるところはきっちりと。
このあたりは満足した。
来月は雀三郎４席。
「道具屋」「延陽伯」「宿屋仇」「鬼の面」らしい。
特に最初の２席が楽しみだな。
開場２０分くらい前に着いたのだが、
下の椅子がほぼ埋まるくらいの人が、既に待っていた。
結局ほぼ満員の入り。
とは言え、５０人前後だが。
「江戸荒物」（呂竹）：△＋
荒物屋がホームセンターのようなもの、という説明。
具体的に「磨き砂」や「業務用の洗剤」といった
買いに行ったものを挙げるのも、
売られているものが具体的に想像できて良いと感じた。
声がよく出ており、はっきり喋っていて良い。
「ぺらいね」などの響きでウケをとっていた。
このネタ、別に人物がどうとかあまり気にせず、
音そのもの面白さや調子の良さで
何となく面白く感じさせれば充分なのかも知れない。
後半、微妙に間延びするところがあった。
憶えた時の切れ場だったのかも知れない。
全体に押し過ぎず、程良く自然なレベルで押してウケを取っていた。
「おい、アマ」に対する「何やねん」とか、
一人目の客の「言葉の分かる人はおらんのかいな」とか。
江戸っ子はあまりウケなかった。
もう少しクサく、江戸っ子っぽく喋っても良かったかも。
女子衆も楽しく話していた。
「なーひろはーのーつんづべなー」から「７尋半の釣瓶縄」に気付くところ、
いきなり気付いてウケを取っていたが、それはあまり好みでない。
先に「釣瓶縄」が閃き、そこから「７尋半」と分かる、くらいで自然に気付き、
「そうですつんづべなー」など、後のやり取りでウケを取る方が良いと思う。
「時うどん」（雀三郎）：○
マクラは食べ物の話など。
特に変わった話をしている訳でもないが、
アクションや必死に語る様子が面白くウケをとる。
刻限の説明など、一切なし。
ここのお客さんならば、確かに不要だろうな。
ネタは、普通と言えば普通なのだが、
喜六を濃く、しかし不自然ではないレベルで描写しており、
安心して楽しめる。
「酒を飲んできた」ということで、
都々逸なしでうどん屋に絡み出す。
店の名前は尋ねないが、
ダシが熱い、器、箸、麺、かまぼこと褒める。
うどんの食べ方はあまり「上手い」と思わせるものではないが、
そこにポイントは置いていない様子。
引っ張られたところで喜六に向き直って「ヴッ」とか唸るのは面白いな。
箸で突くのよりも押してウケを取りにいく感じ。
数えていってうどん屋が「確か九つで」と言ったのに対し
清八が一度「九つ」と受けていた。
個人的には、これは自然だし、騙す上でも良いと感じたのだが、
うどん屋がどちらが気付きやすいか、微妙かも知れない。
後半、喜六が宵から出てきた、とか、地では特に何も言わない。
最近説明過多な「時うどん」を聞くことが多かったのでほっとした。
その代わり、「今日はうどん屋が全然出ていない」とか、
「呼び止めたうどん屋がまだ湯を沸かしていない」といった状況で
刻限が早いことが表現されていた。
この「うどん屋がまだ湯を沸かしていない」ことから、
湯が沸くのを待ったり、
うどんのダシがぬるい、といったところにつながっていた。
ダシがぬるい、からい、器で切れる、箸の先が濡れている、ぐにゃぐにゃの麺、麩、と
普通に拾っていく。
食べ始めるまではその落差でウケをとるが、
中盤はあまり不味いうどんの話はしない。
（飲み干したときは「からい」と言っていたが）
もう少し入れても良い、と感じたが、
あまり入れ過ぎると「昨日と同じ」骨格が見えづらくなるので、良し悪しかな。
あとは、まあ普通に最後まで。
楽しく聞けた。
「はてなの茶碗」（文華）：○－
着物の話から。
この中で「価値を感じる人も感じない人もいる」話を出していたので、
別に絵や器の話を出さなくても良いかな、と思った。
絵の話はそれはそれで面白かったが。
ネタは、まあ普通。
油屋など、表情付けでウケをとるところがあり、
この人の芸風ではあるのだが、個人的にはあまり好みでない。
油屋が茶碗を選ぶところで、探して選ぶ動きを入れていたのだが、
少し離れた茶碗を何気なくすっと取り上げる方が
茶店の主に考える余地を与えないので、自然だと思う。
油屋が茶碗を買うために２両投げ出すところ、
「もっとあればもっと出す、これだけしかない」
といった科白がなかったように記憶しているのだが、
これは入れておいた方が良いと思う。
この科白に、油屋の一か八か賭けたがる精神や
茶碗に賭ける気持ちが出ていると思う。
茶金さんの店へ。「衣棚」を「ころもんだな」と呼んでいた。
番頭の応対から「別世界」の雰囲気が出て良い。
ずっと番頭が手を付いているところは少し違和感があった。
茶碗を見て笑うところは少し濃いかなあ。
そこまで笑う前に油屋はどつきそうな気がする。
何故番頭は笑ったんだろう。
「安物持ってきて、しかも無茶苦茶高いものと思っている」
必死な様子に笑った、くらいなのかね。
茶金さんの「店が騒がしい」、
それなりの雰囲気があって良かった。
「あんたがそうやと言う訳やない」、あまり宥める感じでもなかったが、
茶金さんの格を考えると宥める気を持つ必要もないかな。
そう言いながら「本当は強請りに来ただろう」くらいの気なのかも知れない。
３両受け取るところは、金と茶金さんとを見比べる中で、
金を見る割合を増やし、最後は３両もらう、という感じ。
あまり感情の変化は見えなかったなあ。
受け取る時に泣いて見せるのはよく分からない。
関白鷹司公、天子様の話。
天子様を白痴にする人が多いが、別にそこまでせんでも、とは思う。
油屋が茶金さんの話を聞いていくところ、
上手く省略しつつ描いていて悪くない。
５００両渡すところも（泣きはなかったと思うが）３両と同様。
後は、まあ悪くなかった。
茶金さんや油屋が「５００両持って大阪に帰る」話をした印象があまりない。
少し語順とか言い方とか、考えた方が良いかも知れない。
「口入屋」（雀三郎）：△＋
マクラは車内での話。そこから口入屋の中に入っていく。
うーん。全体に枝雀っぽいのだが、
それ程粒が立っていない、という印象。
長い独り語りが多いネタなので、そこで少し眠くなってしまった。
口入屋の場面は、まあ良かった。
女子衆で溢れ返り、それが口々に喋っているように感じられる。
「イヨーッ、ポン」も楽しい。
店にやってくる。
最初に丁稚に小言を言うのだが、
個人的には忘れていたのではなく、
他の奉公人の手前、という気持ちで言っている方が良いと思う。
あと、番頭はもっと派手にうきうきしている方が好み。
女子衆への説明。
「おじさんの方が好み」とか女子衆が言っているようなフリを入れていたのだが、
これを入れると「一方的に番頭が喋っている」感じが弱くなるし、
どこで女子衆が奥に入ったのか、と疑問に思ってしまうので、
入れない方が良いと思う。
「頭が薄い人が好み」とか言わせてウケをとっていたが、
このようなウケの取り方はあまり好みでもないし。
女子衆の言い立ては、最初、調子に乗るまでで少しトチリがあった。
きちんと立て直すところは流石だが、
ちと勿体ない。
番頭の「今日、店早仕舞い」があまり効かなかった。
ここが効かないと辛いなあ。
最悪、小拍子打っても良いと思う。
後の丁稚連中のうだうだは良かったのだが。
その後の「まだご飯食べてぇしまへん」は枝雀のものが一番良いと思うのだが、
そこまで切れさせてもいなかった。
違う方向を目指しているのだと思うが、ちと半端な感じもする。
這っていくところ、見つかるところはきっちりと。
このあたりは満足した。
来月は雀三郎４席。
「道具屋」「延陽伯」「宿屋仇」「鬼の面」らしい。
特に最初の２席が楽しみだな。
