チェジュ航空、ティーウェイ航空の買収を検討か
2021年は韓国LCC勢の大再編の年になる可能性も
韓国のLCCでシェアナンバーワンを誇るチェジュ航空はティーウェイ航空の買収を検討している可能性があると
複数の韓国紙が報じています。
これは大韓航空がアシアナ航空を買収することによる傘下のLCC3社の統合に対抗するものと考えられており、
既にチェジュ航空とティーウェイ航空の両社幹部が、昨年末に接触したとの情報もあります。
現在韓国の対象LCCのシェアは、
チェジュ航空(26.7%)、ティーウェイ航空(22.6)、ジンエアー(21.0%)、エアプサン(18.5%)、エアソウル(5.7%)となっており、
大韓航空とアシアナ航空の統合による新会社(ジンエアー・エアプサン・エアソウル)は45.2%のシェアを獲得する見込みで、
LCC業界の1位は新会社となり、2008年の運航開始以来業界1位に君臨していたチェジュ航空は2位に後退することになります。
また保有機数に関しては、チェジュ航空が44機、統合新会社は60機にとなり、チェジュ航空においては、
新会社の出現により既存市場を失いかねないとの懸念があるとみられています。
これまでにチェジュ航空は、アシアナ航空の買収、イースター航空の買収に
手を挙げていることからM&Aによる業務拡大の意思があることがはっきりしている事も
今後チェジュ航空がティーウェイ航空の買収に乗り出す要因として考えられています。
またティーウェイ航空としては、先日新たな事業戦略としてA330を導入し中長距離国際線市場に参入することを表明しましたが、
実際のところ資金力に余裕がある訳ではないとみられていることから、チェジュ航空側の資金力が魅力的であるほか、
新興勢と会社更生法を申請したイースター航空を除くと業界シェアは最下位に転落することから、
両社にメリットがあるとみられます。
仮にチェジュ航空がティーウェイ航空の買収に動くとなると、
今後韓国のLCC業界は一気に再編が進むことになり、
大韓航空とアシアナ航空の新会社とチェジュ航空とティーウェイ航空の統合会社の2大勢力になります。
これらの航空会社は、地理的にも多くの日本路線を運航していることから、韓国LCCの業界再編で日本路線にも多くの影響が出ることが予想されます。
韓国エアラインシェア
チェジュ航空 Boeing 737-800 (HL8031)
ティーウェイ航空 Boeing 737-800 (HL8000)
★両社とも機材は100% Boeing 737-800である
大韓航空グループLCC
ジンエアー Boeing 777-200 (HL7743)
エアプサン Airbus A321 (HL7730)
エアソウル Airbus A321 (HL7212)
上記以外では
イースター航空 Boeing 737 MAX 8 (HL8340)
フライ江原(GANGWON); 江原道などの出資で設立。
2019.11月就航(B737-800x2機)
各国航空事情記事があります
⬇️
韓国国内線現状・・・済州島路線が圧倒している
空港と定期路線; 国内線定期便が就航している空港は15です。
但し、旅客はソウルの金浦、仁川、金海(プサン)、Jejuに集中しており、
他の11空港は全てこの4空港に繋がる路線である。(他の11空港間の定期路線は皆無)
年間旅客数は約3300万人で、その86%がJejuとの往来客。 残る14%も金浦・仁川・金海間の旅客である。
韓国の航空会社; 主力2社とLCC
大韓航空(Korean Air Lines;KE) とその傘下のLCC、アシアナ航空(Asiana Airlines;OS)とその傘下のLCC、そして独立系のLCCから成る。
1)大韓航空; 韓進グループが支配(持ち株約3割)し、傘下にLCCのジンエア―を持つ。
アライアンスはスカイチームに属する。 JALとコードシェアする等提携が深い。
2)アシアナ航空; 売却案件破談、政府支援下で再建模索
錦湖グループが支配(持ち株約45%)し、傘下に2社のLCC;エアプサン(プサンベー
ス)とエアソウル(仁川ベース)を持つ。
アライアンスはスターアライアンスに属し、ANAとコードシェア等で提携している。
業績不振から錦湖グループは全株売却を決定(2019年4月)し、現代産業への売却が決まったが、コロナによる一層の経営悪化で破談となった。
今は政府が2100億円規模の金融支援を決め、再建を図ることになっている。
3)チェジュ航空(JEJU AIR);LCC最大手で、Jejuを中心とした国内線のほか、仁川から東南アジアやグアム・サイパンなどに定期便を持つ。
機材はB737-800が46機。
4)ティーウエイ航空(t’way); B737-800型30機で国内線、国際線を運航。
5)イースター航空; 破綻して運航停止
日本路線が多く、日韓関係の冷却をきっかけに業績が大幅悪化。
2019.12月にはチェジュ航空による買収話もあったが、想定以上の資金状況の悪さ(賃金未払い等)にコロナの影響も加わって破談になり、2020.3月を最後に運航を停止した。
6) フライ江原(GANGWON); 江原道などの出資で設立。
2019.11月就航(B737-800x2機)。
襄陽空港をベースとして国内線、国際線に拡大の方向。
7)各社の国内線旅客規模とシェア(2019年);
・ 大韓航空はシェア23%(傘下のジンエアーと合わせて34%)。
・ アシアナ航空はシェア19%(傘下のLCC2社と合わせて32%)。
・ チェジュ航空のシェアは15%、T-wayは9%。