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撮影日 2016/05/23
撮影場所羽田空港 - Tokyo International Airport [HND/RJTT]
第一ターミナル展望台
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1月20日午後1時53分。北海道の新千歳空港を飛び立った札幌拠点の中堅航空会社「AIRDO」(エア・ドゥ)のボーイング767ー300ERが、羽田空港に降り立った。
この機体(機体記号はJA98AD)は、1998年12月20日に同社が札幌―羽田線に就航したときの初号機で、この日が最後の営業フライトとなった。総飛行時間は6万0119時間。地球を1079周した距離に匹敵するという。コロナ禍のコスト削減策の一環で、数年前倒しでの退役となった。
「ドゥーくん」との別れを惜しむ乗客
緊急事態宣言の発出中ということもあり、286席のうち搭乗したのは129人と、やや寂しいラストフライトとなったが、都内に住む40代の女性会社員は、「北海道に行くときはいつもエア・ドゥで、98ADにも数年前に乗った。ありがとうと言いたくて搭乗した」と別れを惜しんだ。
初号機に乗務した客室乗務員らが手づくりで制作した絵本「がんばれ!ドゥーくん」にちなみ、98ADには「ドゥーくん」の愛称もあった。搭乗口上部には、いまでは珍しい機体記号の打刻も見られ、レトロ感も満載。乗客が降り切ると、職員らが万感の思いを込めて機体に感謝のメッセージを書き込んだ。
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767ー300ERの「ER」は、Extended Range=長距離型という意味で、要は国際線仕様ということだ。長距離型ではトイレが7カ所配置(国内線仕様は4カ所)されているほか、ギャレーには機内食を温めるオーブンや電子レンジを搭載できる。無線機も国際線用のものを装備できる。
エア・ドゥの旧社名は北海道国際航空。創業者の浜田輝男氏が「いつの日か、国際線も」との夢を託したが、1998年の就航以来、同社が定期便で国際線を飛んだことはなく、結局このER機材にオーブンや電子レンジ、国際線用の無線機が搭載されることはなかった。
エア・ドゥは、小型のボーイング737型機(144席)を8機、中型のボーイング767型機(286~288席)を6機保有するが、今回の98ADを含め、2021年3月期にこのうち2機が退役し、767は4機体制となる。
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ただ、そのうち2機は98ADと同様、製造から22年を超える機齢で、比較的新しい737への集約を含め、後継機を今度どうしていくかは喫緊の課題となる。
「737と767の2機種体制は堅持する方針だが、コロナ後の需要をどうみるかで、後継機の選定は難しい判断になる」(エア・ドゥCSR企画推進室の工藤智章副室長)という
航空機史上、画期的だった767
1979年に製造が始まった767は、日本が初めて共同開発に参加した航空機だ。767はそれ以前の双発機よりも航続距離を飛躍的に延ばし、アナログの計器類が画面表示のグラスコクピットに置き換えられた。さらに、3人必要だった乗務員が2人で可能になるなど、航空機史上、画期的な機材だった。
だが、ボーイング社は圧倒的な軽量化と低燃費を実現したほぼ同サイズの787を事実上767の後継機とし、旅客用の767の生産は2014年で終了してしまった。
桜美林大学の戸崎肇教授(航空政策)は、「767はたしかに画期的な機材だったが、ボーイング社の787やエアバス社のA330が開発され、いまでは経営上、中途半端な機材になっている。ただ、国内には767を運航するパイロットが多数いることもあり、一気に退役させることもできない。コロナの様子をみながら国内線で活用していくか、貨物機として今後も使っていく必要がある」と話す。
767を運航していたスカイマークはすでに全機を737に一本化し、全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)でも787など最新鋭機への移行が進む。JAL、ANA以外で767を飛ばしている国内の航空会社はエア・ドゥを残すのみだ。
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今回退役する機材を部品再利用会社のあるアメリカまで運ぶのは、エア・ドゥ運航本部の大村大機長だ。スカイマーク3期生として767を操縦し、その後、複数のLCC(格安航空会社)でA320の操縦を担当。さらに、エア・ドゥに移籍し、再び767の操縦桿を握った。
「767はセスナ機のような小型機と似た感覚で飛ばすことができる。積乱雲をよけるとき、A320はパワーがないので横から回り込んでいくが、767はパワフルに上昇してよける。小型機のようなマニュアル感もあって手応えが違う」と大村機長は話す。
767は操縦しがいがある
近年のハイテク機は、自動化が圧倒的に進み、人間を介さない部分を増やして事故を防ぐ設計思想になっている。だが、自動化が進みすぎると、トラブルがあったとき、何が起きているのかパイロットがわからなくなりかねない。
大村機長は「それを踏まえて新しい訓練方法も導入されつつあるが、767のようにどこまでもパイロットの操縦についてくる機材は、操縦しがいもある。767がなくなっていくことは寂しいが、それも時代の流れ。新しいテクノロジーを備えた飛行機には乗りたいとは思うが、767を操縦することが楽しいのは事実だ」と話す。
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大村機長は小型機の教官を務めていた1998年、アメリカの空港で今回退役する98ADを目撃していた。「当時、サンバーナーディーノ空港で、側面に北海道と書かれていた飛行機を見た。それがエア・ドゥに納品される前の98ADだった。それをまたアメリカに送るのだから、不思議な感覚」(同)。今回、東京からアメリカの目的地に至る途中、ルートを少し変更して22年前に98ADを目撃したサンバーナーディーノ空港の上空を飛ぶことにしたという。
その98ADは1月26日に羽田を発ち、1月27日(現地時間)にアメリカ・ニューメキシコ州のロズウェル空港に到着。その後、北海道の夢を運び続けた22年間の”生涯”を閉じることになる。
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羽田空港で出会ったAIRDO 767-300
撮影日 2016/05/23
AIR DO Boeing 767-300 (JA601A)
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AIR DO Boeing 767-300 (JA8359) 退役済
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機材保有と退役機材