「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

ロシアの人治政治の仕組み<2023年6月

2023-06-29 18:41:21 | ロシアと周辺国

「国がワグネルに資金拠出」 プーチン大統領
2023.06.28 Wed posted at 06:30 JST
https://www.cnn.co.jp/world/35205818.html

人治政治とは、法律ではなく人間の意思により政治を行う仕組みを言います。それだけでは政治は行えませから法律はあります。しかし、時と場合により為政者の考えが法律に優先します。もっとも人治主義の定義も難しいです。
大雑把に「少数の人間が、法律に優先して一定の事項を決定することが出来る」・と大体こんな解釈でいいと思います。

ロシアは、典型的な人治主義の国です。独裁者がそのように国家を作り上げました。
そうすると信じられないような国家の富の分配が行われるようになります。社会の上層部にいる人間に巨額の富が分配されます。
新興財閥の富豪ぶりは有名ですが、それだけではありません。今回のワグネル事件では、政府の幹部はプライーベートジェットを持ってました。ワグネルの行進の時、その政府幹部保有のプライベートジェットが、モスクワから多数飛び立ちました。もちろん、誰が乗っていたのかは不明です。

政権の幹部クラスですらプライベートジェットを保有しています。モスクワの高級住宅地の豪邸は普通です。その他どれくらい資産を保有しているのか分かりません。
政府から支払われる給与だけでは、到底無理でしょう。何か他に特別収入があるのでしょうね。これが独裁者への忠誠心が維持される仕組みです。

その代わり逆らうと逮捕・投獄・暗殺の運命が待っています。これがロシア式独裁政治が維持される仕組みです。

今回、プーチン氏がワグネルとの契約で支払った金額を明らかにしました。
『プーチン氏によると、政府は2022年5月から今年5月にかけての期間だけで「維持費とインセンティブ」として(国防省が)ワグネルに約860億ルーブル(約1450億円)支払った。
プーチン氏はまた、ワグネル創設者のエフゲニー・プリゴジン氏が経営する別会社コンコルドが政府から800億ルーブル(約1349億円)受け取ったとも主張した。』

ワグネルの忠誠心と愛国心と自己犠牲の対価は巨額でした。これが全額プリゴジン氏の収入になる訳ではありません。経費をここから支払います。

プリゴジン氏とワグネルは、ウクライナ戦争の英雄です。今まで英雄として持ち上げておいていきなり落とすことも出来ませんから、誉めながら少しづつクサス作戦のようです。(多分、プリゴジン氏もプーチン氏の痛いところは握っていると思います。)

プーチン式政治が、どのような仕組かの一端を示しています。

しかし、それが最後にはワグネルの武装蜂起と言う最悪の結果を招きました。超法規的処置によりプリゴジン氏とワグネルの出国を認めざるを得ませんでした。

人治政治は時には飛んでもない結果を招き、トカゲのしっぽきりに失敗したらその災いは独裁者自身に降りかかります。

侵略戦争もそうですね。独裁者が勝手に戦争を始めました。上手くいかなければ、最終的に独裁者に責任が来るでしょう。

ワグネルにしたってそうです。おそらくベラルーシに移動するワグネルの戦闘員は、数千人より多いと思います。それを解体することが出来ませんでした。ワグネルの独裁者は、プリゴジン氏です。かなりの数の戦争のプロがベラルーシにそのまま残ります。この武装集団だって何をやらかすか分からないでしょう。傭兵組織は金で雇えます。さすがに、やらないとは思いますが理論的にはウクライナが雇うことも可能です。

プーチン氏が自分の独裁体制を維持するために作り出した組織は、ワグネルだけではありません。他に民間の軍事会社が20社以上あります。チェチェンの独裁者のロシア軍から独立した部隊もあります。国家親衛隊と言う準軍事組織もあります。こちらは数が多くて40万人と言われています。これはプーチン氏直属の組織のようです。

一旦暴走するとワグネル以上に制御できない軍事組織はロシア国内には多数あります。そのほとんどは、ロシア軍をけん制するためにプーチン氏が作り出したものです。特に国家親衛隊は危ないと思います。数が多いですし1人の指揮官がプーチン氏に直属する仕組みです。指揮官が反乱を起こしたなら、ロシア国内は大混乱になります。内戦必至です。

そうやって少し考えるだけで、ロシア国内には危なすぎるネタがゴロゴロあります。

結局、人治主義で政治をやっていると最終的には、こうなると言う事であろうと思います。人治主義の最大の欠点は、大きめの武装組織が反乱を起こすと政権が即座に崩壊することです。

分割統治方式で権力が分散しているので、独裁者がいなくなると統治機構が瞬時に崩壊するのです。そのあと、大人しく話し合いが行われるケースは、少ないと思います。

ワグネル運営「実は国家予算」 ロシア大統領明言、不正調査へ
2023年06月28日07時28分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023062800204&g=int



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