「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

ロシア政府はクルスク侵攻を防げなかった責任の追及に乗り出した(アレクセイ・デューミン)<2024/08/17

2024-08-17 19:15:30 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

プーチン政権幹部人事(資料)<ロシア2024.05.15
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/a4d3241b3a50fb43f658b68b338aae52

当然のことながらウクライナ軍のクルスク奇襲作戦の成功は、ロシア軍の大失態です。情報組織にも責任はあります。
1万人は奇襲作戦に参加しているでしょう。この部隊移動を見逃したのはロシア軍の怠慢以外の何物でもありません。

ロシア国内では政府とロシア軍に対する非難の声が巻き起こっていると思います。

ここでロシア政府の幹部を振り返ってみたいと思います。ロシア政府の重大な意思決定は、プーチン氏と政権幹部4人によって決定されます。
ウクライナ軍事侵攻を決めたのは、2021年夏であるとされています。これはオープンソースの情報にあります。そこにいたのは、サンクト・ペテルブルグ時代からの古参幹部3人と当時のジョイグ国防相であったとされています。
(もっともプーチン氏の意思が大きく影響するとは思います)
このうち今、残っているのは古参幹部3人のうち2人です。
No1のニコライ・パトルシェフは大統領選挙後の人事で傍流に移動しました。
No4のジョイグ国防相も安全保障理事会書記に移動しました。ニコライ・パトルシェフの移動前のポストです。閑職ではないかと推測されています。
ジョイグ国防相が移動してから国防省の幹部は汚職が追及され次官は全員逮捕されるか追放されました。国防省上層部のごみ掃除中です。ロシア国防省の汚職も凄くて国防予算の20~40%は、闇に流れている・と「うわさ」されていました。
戦争が長引けばこんな予算の使い方をしていては財政が破綻しますから、国防省改革は当然のことです。平時ならこんな荒っぽいことはプーチン氏と言えども不可能でしょう。戦争の非常事態下にあったから可能だと思います。

プリゴジンは悪党でしたが、国防省をはじめとする政府幹部の汚職を徹底的に糾弾していました。
一番先頭に名前が挙がっていたのが、ジョイグ前国防相とゲラシモフ参謀総長です。
汚職と無能を徹底的に糾弾していました。
ジョイグ前国防相は追放されず移動と言う形で権力を失いました。
ゲラシモフ参謀総長は戦争遂行を円滑に進めるという意味で留任しました。

これを知ったうえで記事を読むと分かり易いと思います。
もう1人説明します。
トゥーラ州のアレクセイ・デューミン知事(51歳)が大統領府の補佐官に昇格しました。
ロシア国内では、プーチン氏の後継者と目されています。

『越境攻撃に不意を突かれたプーチン、「俺は騙された」と激怒、犯人探しが始まった』
2024年8月15日(木)18時22分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/08/post-105421_1.php

当然、大失態の犯人探しが行われます。
1000平方キロメートルの領土を占領され、20万人以上の地域住民が強制避難しました。結構、捕虜になっています。
これだけの大失態を仕出かして無事で済むわけがありません。

ここにプーチン氏の代わりに派遣されたのが、腹心筆頭のアレクセイ・デューミンと言うわけです。
この場合、新任の国防相の責任追及はしにくいと思います。国防省の大改革のために5月にプーチン氏が国防相に昇格された、やはりプーチン氏お気に入りの新大幹部です。

やはり一番最初に責任を問われるのは制服組トップのバレリー・ゲラシモフ参謀総長です。

『 ロシア情報当局はウクライナ軍が同国北東部スームィ州の国境地帯に兵力を結集し、越境攻撃を準備していることを察知して、警告したにもかかわらず、ゲラシモフが対応を怠った、というのだ。
 ニュースサイトのブルームバーグは8日、クレムリンに近い匿名情報筋の話として、クレムリン高官はゲラシモフの対応に不満を募らせていると伝えた。
 先週、ウクライナ軍がクルスク州の集落を次々に掌握し、制圧地域を広げる中、テレグラムのロシア人チャンネルではゲラシモフの「無能ぶり」を非難する声が渦巻いた。』

これは早い段階から言われていることです。
情報組織だけでなく現場の国境警備隊からもウクライナ軍の集結は、ロシア軍に報告されていたようです。
見ているんだから分かりますよね❓
ところが、ロシア軍は全く対応せず見過ごしました。

故プリゴジンが強烈に糾弾した通りゲラシモフ参謀総長の無能ぶりには、定評があります。この人が有能であれば、とっくにロシア軍勝利で戦争は終わっていると思います。
ロシア軍とウクライナ軍の戦力差を考えると、普通ロシア軍の勝利で終わるでしょう。
ウクライナ軍が優秀だから抗戦が成功したというより、ゲラシモフ参謀総長が無能だから戦争が長引いたというべきです。2022年はロシア軍は、やることなすこと間抜けと無能のオンパレードでした。これは誰でも知っていることです。

それでもプーチン氏は、ゲラシモフ参謀総長の首は飛ばしませんでした。やはり戦争中に国防相と参謀総長を同時に入れ替えるリスクを避けたのであろうと思います。

今回のロシア軍の大失態は、世界とロシア国民が見ている中で起きました。
これに対してプーチン氏が迅速に対応しないと批判の矛先はプーチン氏に向くと思います。

ゲラシモフ参謀総長は、自分の首を飛ばす絶好のネタを作り出したと言えます。

個人的には、クルスク侵攻のゴタゴタや成り行きにはあまり興味はありません。
「アホだな!」と思うだけです。
ロシア国内ではロシア軍の方が圧倒的に数が多いのだから誰がやろうとウクライナ軍が殲滅されて終わりだと思います。その勢いでロシア軍はスームイ州に雪崩れ込むでしょうね❓
何のためにウクライナ軍がクルスクに侵攻したのか、意味不明です。クルスク州を占領するつもりなら10万人程度の部隊を準備しないと無理だと思います。数万人程度でできる話ではありません。

無能の評判の高いゲラシモフ参謀総長が追放されて次の参謀総長に昇格するのは誰か❓
ゲラシモフ参謀総長より能力の劣る将軍は、多分いないと思います。誰が昇格しようと今よりは、マシだと思います。
個人的な希望は、主流派との権力闘争に敗れて軍から追放されたスロビキン将軍の復帰を希望しています。名前を知っているロシアの将軍では、一番有能だと思います。
今ロシア軍が優勢であるのは、ロシア軍がボロボロになっていた時に、スロビキン将軍がスロビキンラインの建設を決定して実行させました。これがボロボロのロシア軍の防御を安定させました。
同時に「南は守り北を攻める」大方針を決定しました。
今でもロシア軍は、この方針の通りに作戦計画を立てて実行して成功しています。

ロシア軍にとってガタガタになっていたウクライナ戦線を立て直したのは、スロビキン将軍です。
まあ、誰が参謀総長に昇格するのか❓
次の参謀総長の出来が良ければ、戦争は早く終わると思います。


※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑥
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27



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