2022年01月08日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[#10洋上風力発電と漁業 海外の経験 米国 タラ資源への科学的警告を無視しプロジェクト承認]
米国海洋大気庁(NOAA)の科学者は同国内務省海洋エネルギー管理局(BOEM)に対し、ロードアイランド州沿岸のサウスフォークの洋上風力発電所がニューイングランド南部のタラ資源に脅威を与えると警告した。
警告は、BOEMが2021年11月、タービン12基の当該計画を承認する数週間前に、非公開で通報された。
これらの警告は、米国東部海岸に沿った洋上風力発電計画による生態学的影響、環境トレードオフを強調するものとなっている。
”オーステッドAS”(Orsted AS) と”エヴァーソース・エナジー”(Eversource Energy) によって開発されている当該 132メガワットのプロジェクトに関する懸念は、タラの主要な産卵地であり、政府が管理する多くの魚種に貴重な生息地を提供する敏感な生態地域“コックスレッジ”との重複となっている。
NOAAは、2021年10月にBOEMに宛てた書簡で、専門知識と査読済みの科学に基づき、当該プロジェクトが、ニューイングランド南部の大西洋沿岸沖合のタラ資源に影響を与えるリスクが高いと指摘している。
BOEMは、タラ資源への影響を和らげるために、コックスレッジの一部の地域をリースから切り出すなど、いくつかの措置を講じ、NOAA からの警告の後、最終的なサウス フォーク計画が 15 基のタービンから 12 基に縮小された。
しかし、それでもなお、NOAAはBOEMがタラ資源を保護するための他の勧告を無視したことを非難し、科学によって裏付けられていない欠陥のある仮定に基づいていくつかの決定を下したと言及、当該資源の産卵期における建設作業問題等を指摘している。