2021年10月20日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[カムチャツカ地方は太平洋サケマス流し網(沖獲り)の復活を危惧している]
ロシア漁業庁は、ロシア極東排他的経済水域(EEZ)における太平洋サケマス沖獲り向け漁獲割当オークションを、今年11月と12月、2クールに分けて開催すると先に発表、上場は、6海域5魚種、計103ロットで全体のTAC設定の約5割、落札による漁獲割当配分の権利は2033年(2022年から12年間)までとされている。
ロシアでは、2016年以降、太平洋サケマス漁獲を目的とするEEZ、領海、内水面での流し網の使用は禁止されており、この効率的代替漁具・漁法問題は未解決となっている。
この情報に接し、徹底的に流し網反対のキャンペーンを行ってきたカムチャツカ地方は、流し網(沖獲り)の復活を危惧し、オークション開催に懸念を表明した。
先に行われたロシア上院の農業・食料政策と環境に関する委員会において、カムチャツカ地方選出上院議員、定置網漁業者で、流し網禁止キャンペーンの急先鋒だったボリス・ネフゾロフら同地方代表者が開催の中止を求めた。
ネフゾロフは、当該漁獲割当配分が流し網漁業復活の基礎になる可能性があると語り、オークションで上場ロットが落札された時、国家はそれを認めることを余儀なくされると加えた。
これに対し、委員会に出席したロシア漁業庁副長官ワシリー・ソコロフは、流し網の使用禁止は法律で規定さており、立法機関がこれを見逃す可能性は極めて低いと語り、一方で、評価のある資源の漁獲割当を配分しない場合、会計監査当局の追及を受けることになると言及、オークションの応札者の全ては、法的禁止を認識していると想定され、これを無視して流し網を使用、復活を求めることは、考えにくい旨を加えた。
2017年02月17日 カムチャツカ発
[流し網禁止のイニシアティヴをとったネフゾロフが国家賞受賞]
2016年1月1日からの太平洋サケマス流し網操業禁止のイニシアティヴをとった、カムチャツカ地方選出上院議員ネフゾロフが、議会政治の発展へ貢献したとして、国家賞を首相メドヴェージェフから受け取った。
太平洋サケマス操業の禁止により、当該資源量は回復し、今後、来遊量の大きな成長が予想されている。
ネフゾロフは、カムチャツカ地方の発展と強化に貢献を続けている。
(関連過去情報)
2017年02月17日 北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[流し網禁止のイニシアティヴをとったネフゾロフが国家賞受賞]
2016年1月1日からの太平洋サケマス流し網操業禁止のイニシアティヴをとった、カムチャツカ地方選出上院議員ネフゾロフが、議会政治の発展へ貢献したとして、国家賞を首相メドヴェージェフから受け取った。
太平洋サケマス操業の禁止により、当該資源量は回復し、今後、来遊量の大きな成長が予想されている。
ネフゾロフは、カムチャツカ地方の発展と強化に貢献を続けている。
2015年06月12日 北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[禁止法案のイニシアティヴをとった上院議員はカムチャツカ定置網漁業のオーナである]
ロシア業界関係者の情報によると、流し網漁業禁止法案のイニシアティヴをとった上院議員ボリス・ネフゾロフ(Борис Невзоров)は、カムチャツカ地方の定置網漁業会社の実質的オーナである。
漁業会社“ウスチカムチャットルイバ”(Устькамчатрыба)の55%の株式をボリス・ネフゾロフ、10%をタチアナ・ネフゾロフ、そして5%をアンナ・ネフゾロフとアレクサンドル・ネフゾロフが所有している。
また、別の漁業会社“ヴォストーク・ルイバ”(Восток-рыба)の10%の株式をボリス・ネフゾロフ、同様に、10%をタチアナ・ネフゾロフ、5%をアンナ・ネフゾロフとアレクサンドル・ネフゾロフが所有している。
2013年の“ウスチカムチャットルイバ”の当期売上は10億ルーブル、利益が4億1,200万ルーブル、“ヴォストーク・ルイバ”は、売上1億50万ルーブルで、利益450万ルーブルとなっている。
太平洋サケマス流し網漁業漁船が多く所属し、定置網によるベニザケの商業生産がないサハリン州は流し網禁止に反対し、他方、サケマス漁業においてベニザケを対象とした定置網が主力のカムチャツカ地方は過去から流し網禁止を強硬に主張していた。
更に、カムチャツカ地方の主張の背景に、これを扇動する環境保護団体WWFの存在がある。
同団体とMSC(エコラベル)は表裏一体で、米国とカムチャツカの沿岸漁業によるベニザケのMSC(エコラベル)製品のシェアを拡大し、その位置づけを強化して、クライアントを増やすためには、市場から評価の高い、流し網漁業による沖獲りのベニザケ製品は“邪魔者”となる。
このことから、米国とカムチャツカの沿岸漁業者、そして同団体は共通の利益に向かい行動していると言える。
2016年02月26日 北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[太平洋サケマス漁獲の流し網漁業代替にかかる表層定置網の有効性検証の計算]
ロシア排他的経済水域における流し網漁業禁止に伴い、遡河性魚種の漁獲のため許可される代替漁法リストが極東漁業規則に盛り込まれることになる。
業界と科学研究機関は合理的で安全な代替漁具を見出したが、現在、これが同漁業規則改正案にリストされていないことが問題となっている。
これは既存の漁船の構造的特徴をいかす表層定置網であり、業界は唯一現実的に代替可能な漁法だと主張している。
業界が科学研究機関に依頼し、この有効性を検証した計算の条件設定等は次のとおりとなっている。