ようこそRAIN PEOPLES!超バラバラ妄想小説『雨族』の世界へ! since1970年代
「雨族」
断片56-真に偉大な雨族を出現させるために
そもそも「究極ペット」って何なのですか?
“「究極ペット」?知らねぇなぁ。髪の長い女だって?風の中で眠ってる?だから知らねぇなぁ。他、当たってくんねぇか?”
“「時には晴れの無い子のように海を見つめていたい」?分からねぇなァ。
「雨族言葉にご用心」?そりゃぁ湘南の方じゃねぇか?
レインスペクターってぇのは聞いた事があるような気がするぜ、それなら八王子の方の族かもな。そっち方面当たってくれねぇかなァ。
で、あんた、雨族の何なのサ ”
♪ミナトのアーメ、アメアメ、アメゾク~~!♪
僕は!今こそ出現の時を待つ真に偉大な雨族に関する伝説の数々を伝えるべきだと思う!
よって、この物語を書こうと決めた訳だ!
199X年に真に偉大な雨族があらわれると伝承が語っている!
都心に出現すると伝えられている!
そのためには、幾つかの選ばれた雨族たちにふりかかった晴れの呪いを解除してゆかねばならない!
しかし、雨族たちには連帯意識が欠如しているので、雨族外のオピニオン・リーダーがオルグらなければ、雨族たちの呪いを解除する事は難しいだろう!
ゆえに、真に偉大な雨族の出現は実現されずに終わってしまう!
「でも、いったい、真に偉大な雨族って何なの?どこが真に偉大なの?」
「それは雨族とは何かという説明から始めなければならないんだ!真に偉大な雨族は、ひょっとすると人間以外かもしれないよ!それは空中に広がっていくような感じさ!皆の心の中に割り込んでゆく、世界中のね!要するに世界中の若い世代が全て雨族化してゆくことになるんだ!」
「まあ!人類メツボウ!」
『真に偉大な雨族』の出現=人類絶滅の一歩
彼女は黒板に、こう書いた。僕は少しムッとした。
「それは、そうかも知れないけど、少し違うよ!」
と僕は言った。
「人々が平等な悲しみに包まれれば、何かが変わるよ、たぶん!」
「どうして人々が悲しみに包まれなければ、いけないのかしら」
「だって、不公平じゃないか!雨族の人生は物凄く悲しいんだ!物凄く退屈で苦しいんだ!」
「あなた、自分が、そうだからって、雨族以外の人は悲しくも苦しくもないと思ってんのぉお?雨族も普通の人も充分、生きる事は平等に苦しいと思うわ!あなた考え方が選民思想してるわ!勝手よ!自己完結よ!」
「ちがう!苦しみの深さと広さが、まるで違う!僕らは愛されることも、愛することも、ないんだ!ブチッと、人生のある時点で愛を感受する心のサーキットがちぎられてしまったのだぁぁあああ!」
真の最も偉大な雨族は、まだ現われておりません!
その時期じゃぁ、ないんです!
愛する事は苦しいから、誰もが避けはじめ、幻想の中に真に偉大な雨族たる自分自身を見い出すのですよ。
其の国の事かい?それなら聞いてる。
「雨族って、正確な定義づけが、あるのかい?」
「さあ?」
僕が、はじめて雨族を見たのは、1985年7月21日の朝だ。場所は湘南。
僕自身、何の疑惑も神経の歪みもなしに、きちんと社会の競争システムに馴染んでいけるとは、まるで思ってはいない!
でも、君は自分の事を雨族だとは考えていないだろう?いや、考えたくないのだろう!
真の最も偉大な雨族は、そろそろ現われる!
ふっ!それは、君じゃないのかね!ズドーン!
雨族は真に偉大な恋愛によって解除される。
よって真に偉大な恋愛を僕は望んで信じていたが、それは一方的な幻想だった。
そこには規律がある。盲目的な規律がある。
君が全てという原則だ。
過去も未来も振り切り、君が全てで、他人は、いない。
ところが、君が、それを、あらかじめ破っていたので、僕の幻想は地上に落ちた。地に落ちた。
憎しみや嫉妬がムクムクと湧き上がり、悲しくなった。
自分が空しく、裏切られた気分になった。真に偉大な恋愛の夢は終わった。
後は、もう真に偉大な恋愛を望まず、地上レベルで誰とでも遊ぶことにした。
それを、君は認可した。気にしないと言った。
そして、僕はより、ダムの決壊を感じた。
そうして、僕は皆と遊びはじめた。雨族同士で、ぷ~らぷら、と。
断片56 終
This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)