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「雨族」
断片51-園の内側、赤い空
7.ルトガー・ハウアー
私は、会社へ行きたくなかった。
プログラムを作る事はそんなに嫌ではなかったが、ノータリンどもに会いたくなかったのだ。
会社員は全てノータリンだ。
奴らの中にいったい、何人、ユイスマンスの「さかしま」を読んだ奴がいるだろうか?
奴らの中にいったい、何人、アート・リンゼイのキュービック奏法にシビレタ奴がいるだろうか?
奴らの中にいったい、何人、「テオレマ」のテレンス・スタンプに感動して涙にむせんだ奴がいるのだろうか?
奴らの中にいったい、何人、小学生のうちにマルクスの「資本論」を読破し、石原莞爾の「世界最終戦争論」に胸をワクワクさせた奴がいるだろうか?
・・・1人もいないだろう。
私は社会の中で悲しいひとりぼっちの青年なのだ。
ベティは言う。
「ルトガー・ハウアーは天才よ。目よ。目が全てを演じてるわ」
私も、そう思う。
あれ程。異常者の似合う俳優は滅多にいない。
私は会社を休む事にした。
ベティーと一緒に「ヒッチャー」を観に行く事にした。
断片51 終
This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)