元祖・東京きっぷる堂 (gooブログ版)

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「雨族」 断片51-園の内側、赤い空~7.ルトガー・ハウアー:kipple

2010-01-25 20:16:00 | 雨族(不連続kipple小説)

ようこそRAIN PEOPLES!超バラバラ妄想小説『雨族』の世界へ! since1970年代


               「雨族」
     断片51-園の内側、赤い空
      7.ルトガー・ハウアー


 私は、会社へ行きたくなかった。

 プログラムを作る事はそんなに嫌ではなかったが、ノータリンどもに会いたくなかったのだ。

 会社員は全てノータリンだ。

 奴らの中にいったい、何人、ユイスマンスの「さかしま」を読んだ奴がいるだろうか?

 奴らの中にいったい、何人、アート・リンゼイのキュービック奏法にシビレタ奴がいるだろうか?

 奴らの中にいったい、何人、「テオレマ」のテレンス・スタンプに感動して涙にむせんだ奴がいるのだろうか?

 奴らの中にいったい、何人、小学生のうちにマルクスの「資本論」を読破し、石原莞爾の「世界最終戦争論」に胸をワクワクさせた奴がいるだろうか?


 ・・・1人もいないだろう。

 私は社会の中で悲しいひとりぼっちの青年なのだ。

 ベティは言う。

「ルトガー・ハウアーは天才よ。目よ。目が全てを演じてるわ」

 私も、そう思う。

 あれ程。異常者の似合う俳優は滅多にいない。

 私は会社を休む事にした。


 ベティーと一緒に「ヒッチャー」を観に行く事にした。






断片51     終


This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)