真面子の社会観察日記

社会で起きている様々なできごとを真面目に言いたい放題!

外国人実習生への法令違反

2007年07月04日 | Weblog
2006年末現在、日本の外国人労働者数は208万5千人となり、それは総人口の1.63%にあたる数だ。しかし、在留期間を超えて「オーバーステイ」している外国人を加えると約220万人の外国人が日本で暮らしている。

今日付けの新聞に、外国人実習制度で残業代の不払いなど労働関係の法令違反で労働基準監督署が2006年に指導した事業場数は、前年比65%増の1209カ所に上り、過去最多だったことが厚生労働省のまとめで分かった、いう記事が掲載されていた。報告では実習生の労働環境が改善されていない実態が浮きぼりになった。

この実習生制度とは、発展途上国の労働者に日本で働きながら技術を習得してもらう制度で、1年目は研修生扱いで、その後受け入れ先と雇用契約を結んで2年間は技能実習生として働く制度であるが、彼らは労働法令も適用されるれっきとして労働者なのだ。

研修制度と技能実習制度がどのように創設されてきたのかは、製造現場でもなければ知らないと思う。私はたまたま外国人労働者問題を研究していたことがあるので、この制度には割合と詳しい。

研修制度は1981年に創設され、この制度の目的を「我が国で開発され技術・技能・知識の開発途上国への移転を図り、当該開発途上国などの経済発展を担う『人づくり』に寄与すること」として、研修生は労働者ではないとしている。

そして、1993年に技能実習制度が創設され、「研修により一定水準以上の技能などを習得した外国人について、研修機関と雇用契約を結び、働きながら技術などを実践的に習得することができるようにするもの」とされ、そこには労働者と規定されているのだ。

そもそも研修制度や実習制度が出来た背景には、80年代後半日本がバブル景気に浮かれている頃、製造現場で働く人手が足りないことの対策として政府が作ったものなのだ。というのは、日本には、入国管理法というのがあって、特別な技能保持者しか国内で働くことを許可していないし、単純労働者にはビザも発行せず、日本に滞在して働くことも出来ないからだ。

そして、先週末、偶然にも首都圏移住労働者ユニオンの書記長である本多さんの「移住労働者および研修生:技能実習生の労働実態が問いかけるもの」というお話しを伺ったばかりだったので、この記事がとても気になった。

本多さんの報告で、最も驚かされたのは実習生の超長時間労働の実態であった。首都圏移住労働者ユニオンに寄せられる労働相談の中でも長時間労働や休みを与えないなどの相談が多いという報告であった。知らなかったが、超長時間度労働が原因で死亡した外国人労働者も居るとのことだった。

例えば、研修生は労働者ではなので賃金とは言わないし、残業もしてはいけないのだが、実態は、実習生と同様の労働を強いられていることなどが報告された。

悲惨な労働環境の下で働かされているのは外国人の女性が多く、この報告を伺って、まだ日本はこんなことをしているのかと仰天したのだ。こういう女工哀史のような問題は、グローバル化が進展している今では、世界中からすぐに避難をあびることになると思う。

不正はいずれ暴かれるが、同時に犠牲者になっているのは、大体女性と決まっていて、切ないなと思う。こんなことをやっているようでは、世界に通用する国家にはなりえないし、美しい国、日本とはほど遠い。

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