木村草太の力戦憲法

生命と宇宙と万物と憲法に関する問題を考えます。

馬鹿にしているのか?

2012-07-30 20:25:22 | 憲法学 憲法上の権利
先日、制度について書きましたところ、
制度的保障についてご質問いただきました。

制度的保障というのは、もともと、
憲法典制定以前に、歴史的に形成された制度を、
憲法典を作るときに、
「いやー、この制度(教会、一部の貴族の家など)、
 ○○の憲法原則(政教分離や人権保障、身分制廃止など)に
 反するんだけど、
 いきなりやめられないから、特別に残して憲法上の保障与えとくか」
といった考慮で作られた条文を説明する概念なわけで、

「これこれは制度的保障です」っていう解釈論は

「これこれは不合理かもしれないけど
 歴史的な経緯でやめられなくて、残しときました」

っていう意味の解釈論になるんですね。はい。

そんなわけで、「日本国憲法の地方自治の保障はいわゆる制度的保障であって」
とか言うと、全国の自治体から、「お前俺のこと馬鹿にしているのか?」と
言われてもしょうがないわけであります。
長谷部先生の教科書に、そう解説されているので、
お持ちの方は是非チェックを!

ちなみに宮沢先生の地方自治についてのエッセイで、
そう言われてもしょうがないような地方自治論、見たことありますが。ははは。

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2 コメント

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Unknown (二尺玉)
2012-08-17 08:45:46
現在、制度的(体)保障について現在学んでいるのですが、
長谷部先生の教科書とは、どの著書になりますでしょうか。
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>二尺玉さま (kimkimlr)
2012-08-19 15:11:06
黄色い表紙の『憲法第五版」のことですよ。
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