木村草太の力戦憲法

生命と宇宙と万物と憲法に関する問題を考えます。

沈黙の自由の保障の程度

2012-07-07 13:11:52 | Q&A 憲法上の権利
また更新が滞りました。
たまっていたQ&Aの掲載を再開していこうと思います。

思想良心の自由について (受験生)
2012-01-22 16:47:05
先生、こんにちは。
『急所』を読んでいて、よくわからなかった点がありましたので、質問させてください。
急所の12頁に、「内心の自由としての思想・良心の自由は絶対的保障を受けるから、同意を理由に制約することは許されない」という趣旨の記述がございます。

私には、この部分がよくわかりません。
これをそのまま理解すると、例えば、「国がある私人の同意を得て、当該私人の信仰する宗教や、あるいは、支持する政党を、何らの罰則を伴わずに聴取する」といったことも、許されないのではないか、と思ったのですが、このような国の行為が許されないとする理由が、よくわかりません。
それともこの部分の記述は、国が私人の同意を得て、その人の思想を矯正するような、いわゆる「洗脳」のような行為が許されない、というようなご趣旨なのでしょうか。
お忙しいところ申し訳ありませんが、ご回答いただけると嬉しいです。


>受験生さま
同意を得て思想調査をする例ですが、
沈黙の自由の絶対保障は、
国が思想情報を持つことは、
弾圧や思想を理由にした不利益取り扱いを非常に高くすることになるからです。

なので、基本的には同意を得ての思想調査は
基本的にはマズいのですが、
しかし、エホバ剣道受講拒否事件判決では
信教内容を学校が探知してもいいといっていますねえ。

私個人としては、実は、あの事案で
信仰の内容を学校が誰何することは
よくない、ぶっちゃけて言えば違法だと思っていますが、
判例は、あんまり深く考えていないと思います。

そういうわけで、恐らく判例は、沈黙の自由を
憲法学説で一般に言われる意味での「絶対保障」とは考えていない、と理解すべきでしょう。
(絶対保障の定義は、公益や同意等の理由で
 制約が正当化されない程度の保障を意味するので、
 公益では制約できないが、同意では制約できる
 という強度の相対保障という領域もあるかもしれません)


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