木村草太の力戦憲法

生命と宇宙と万物と憲法に関する問題を考えます。

LRAの考え方

2012-03-06 07:51:21 | Q&A その他
次のようなご質問をいただきました。

LRA (冥王星)
2012-03-05 15:37:48
LRAについて疑問が生じました.よろしくお願いいたします.

現行法上,ある公共目的達成のために複数の規制がある「屋上屋ケース」は,必要性の問題とならないのでしょうか?すなわち,現行規制手段どうしを比較して,一方をLRAであるとして,もう一方を必要性を欠くという持っていき方はないのでしょうか?

言い換えると,LRAというタームは仮想的な規制手段に限定されて使用されているように感じられますが,必要性判断とは仮想的手段との比較でしかなされないのでしょうか?

それとも,規制全体(複数の規制)により失われる利益の総和が大きすぎとして,相当性の問題となるのでしょうか?

屋上屋部分は関連性なしとなるのでしょうか?


 うーんとですねえ、これはすごく難しいのですよ。

 例えば、私が昨年の司法試験の問題(Z画像のやつ)をみたときに、
 まず最初に考えたのが、
 Z画像によって人格権を侵害された者は、
 民法上の人格権に基づき差止め請求できるはずであって、
 この規制は、屋上に屋を重ねるようなもんではないか、
 という点をどう考えるのか、というものだったわけですね。

 で、多分、民法上の人格権で十分なら
 例の法律は全部LRAありで違憲と言ってよいんだと思います。

 他方、あの法律が民法上の人格権保障では実現できない
 より強い保護を実現していると言えるなら、
 まあ、合憲といっていいかな、と、こういう感じだと思いますね。


 それで、現行規制と比較するとおっしゃっておりますが、
 こういう場合は、
 「人格権+本件法律」という現行状態と
 「人格権のみ」という仮想の事態(人格権のみというのは仮想事態です)を比較する
 ということになるでしょう。

 そんな感じです。

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2 コメント

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>冥王星さま (kimkimlr)
2012-03-06 15:49:42
よかったです。
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Unknown (冥王星)
2012-03-06 08:45:44
お忙しい中,さっそくのご回答ありがとうございます.

非常にクリアに理解できました.
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