保障根拠 (neko)
2011-10-06 20:27:13
木村先生はじめまして、ブログ楽しく読ませていただいてます。
もう少しちゃんと将棋を勉強しておけばよかった、と思いながら。
「憲法の急所」の保障根拠について質問させていただきます。
1 自分の理解
保障根拠というのは、憲法の各条項がなぜその憲法上の権利を保障しているのか、という理由である。
e.g.21条1項であれば、(簡単に言えば)自己実現と自己統治の価値の実現のためである。
そしてこの保障根拠は、保護範囲の画定の指針となる。
(民法等において趣旨から文言を解釈するように、憲法においては保障根拠から保護範囲を解釈する)
以上を前提にすれば、権利の保障根拠は憲法条項の文言から明らかな権利(e.g.「表現」や「集会」)については、(説が分かれるにせよ)すべて決まっている。
そして文言上明らかではない権利・自由は、かかる保障根拠から保護範囲に含まれるか否かを判断することになる。
e.g.選挙運動の自由は、21条1項の文言からは明らかではない。しかし、いわゆる自己実現自己統治という21条1項の保障根拠からすれば、
選挙運動は、自らの政治的思想の発露という意味での自己実現の価値が認められ、また、選挙という政治的決定に参加し、
それを有益なものにするという意味での自己統治も認められるため、21条1項の保護範囲に含まれる。
2 疑問
と、なると思っていたのですが、「急所」p35を読み直すと、
『選挙を有意義なものにするためには、有権者に候補者に関する情報をできるだけ多く伝えねばならず、
選挙運動はその有力な手段であることなどが、選挙運動の自由の保障の根拠になるだろう』とありました。
この文章を素直に読むと、「選挙運動の自由の保障根拠」があるということだと思います。
そこで以下の疑問が浮かびました。
①そもそも権利の保障根拠は、憲法条項の文言から明らかな権利に限らず、すべてのものにあるのか?そうだとすれば、殺人の自由などについても一応保障根拠はあるのか?
②それとも選挙運動の自由は憲法条項の文言から明らかな権利なのか?では、ビラ配りの自由はどうか?それらの限界は何なのか?
③はたまた理解が根本的に違うのか?
※「憲法上の権利」p3は、保護範囲に含まれ、保障される権利だと理解していますので、区別のために「憲法条項の文言から明らかな権利」としています。わかりにくくてすいません。
3 コメント
抽象的な疑問で申し訳ありませんが、憲法がわかってきたとはじめて感じた「急所」だからこそしっかり理解したいと思い質問させていただきました。
的外れな質問でしたらすいません。
nekoさま (kimkimlr)
2011-10-06 22:07:45
うーん、保障の根拠は、その権利ごとにあります。
一般的な表現の自由と選挙運動の自由は、
性質が微妙に違うので、
保障根拠をかきわけるかな、と言う感じです。
なので、保障の根拠論は、
権利の性質がちがえば、違う理論をたてる
という感じです。
殺人の自由は、保護範囲に含まれるとすれば
一般的自由権なので、
一般的自由権の保障の根拠を論じることになるでしょうね。
ちなみに、「表現」にしても「集会」にしても
解釈を要する言葉なので、
憲法の文言だけで、保護範囲の解釈が必要ない場合というのは、
そんなにないはずです。
保障根拠 (neko)
2011-10-07 15:12:26
木村先生、コメントありがとうございます。
先生のコメントを受けて一晩考えたところ、以下の理解でよいのではないかというところまできました。
①「選挙運動の自由」が、ビラ配りの自由などと違い「集会の自由」や「表現の自由」など
と同格のように扱われている理由は、権利の性質が違うからである。
反対に、ビラ配りの自由は「表現の自由」の一形態であり権利の性質が同じだから
「表現の自由」の保障根拠論のみ論述して、保護範囲を確定し、それに含まれるか否かを検討すれば足りる(p145)。
②しかし、「集会」や「表現」と異なり、「選挙運動の自由」は21条1項と関連性があることがまだ説明できていない。
そこで、「選挙運動の自由」が21条1項の保護範囲に含まれることを説明する必要がある(p35)。
しかしそうだとすると、1つわからないところがあります。
現在説明してあるのは「選挙運動の自由」の保障根拠であって、それを解釈して導けるのは「選挙運動の自由」の保護範囲だけである。
21条1項の保護範囲を確定するためには21条1項自体の保障根拠が必要なのではないか?
または21条1項が明らかに保障している「表現の自由」の保障根拠からの解釈が必要なのではないか?
それとも、選挙運動の自由が21条1項の保護範囲に含まれることは論証なく当たり前として書いてもいいところなのか?
長くなってしまい申し訳ありません。
一言でもコメントいただけると嬉しいです。
>nekoさま (kimkimlr)
2011-10-07 16:29:19
うーんと、憲法では、一つの条項でたくさんの種類の権利を保障しているので、
あまり条文・条項ごとに権利を分けるという思考はとらない方がいいですよ。
こんな感じでどうでしょう?
2011-10-06 20:27:13
木村先生はじめまして、ブログ楽しく読ませていただいてます。
もう少しちゃんと将棋を勉強しておけばよかった、と思いながら。
「憲法の急所」の保障根拠について質問させていただきます。
1 自分の理解
保障根拠というのは、憲法の各条項がなぜその憲法上の権利を保障しているのか、という理由である。
e.g.21条1項であれば、(簡単に言えば)自己実現と自己統治の価値の実現のためである。
そしてこの保障根拠は、保護範囲の画定の指針となる。
(民法等において趣旨から文言を解釈するように、憲法においては保障根拠から保護範囲を解釈する)
以上を前提にすれば、権利の保障根拠は憲法条項の文言から明らかな権利(e.g.「表現」や「集会」)については、(説が分かれるにせよ)すべて決まっている。
そして文言上明らかではない権利・自由は、かかる保障根拠から保護範囲に含まれるか否かを判断することになる。
e.g.選挙運動の自由は、21条1項の文言からは明らかではない。しかし、いわゆる自己実現自己統治という21条1項の保障根拠からすれば、
選挙運動は、自らの政治的思想の発露という意味での自己実現の価値が認められ、また、選挙という政治的決定に参加し、
それを有益なものにするという意味での自己統治も認められるため、21条1項の保護範囲に含まれる。
2 疑問
と、なると思っていたのですが、「急所」p35を読み直すと、
『選挙を有意義なものにするためには、有権者に候補者に関する情報をできるだけ多く伝えねばならず、
選挙運動はその有力な手段であることなどが、選挙運動の自由の保障の根拠になるだろう』とありました。
この文章を素直に読むと、「選挙運動の自由の保障根拠」があるということだと思います。
そこで以下の疑問が浮かびました。
①そもそも権利の保障根拠は、憲法条項の文言から明らかな権利に限らず、すべてのものにあるのか?そうだとすれば、殺人の自由などについても一応保障根拠はあるのか?
②それとも選挙運動の自由は憲法条項の文言から明らかな権利なのか?では、ビラ配りの自由はどうか?それらの限界は何なのか?
③はたまた理解が根本的に違うのか?
※「憲法上の権利」p3は、保護範囲に含まれ、保障される権利だと理解していますので、区別のために「憲法条項の文言から明らかな権利」としています。わかりにくくてすいません。
3 コメント
抽象的な疑問で申し訳ありませんが、憲法がわかってきたとはじめて感じた「急所」だからこそしっかり理解したいと思い質問させていただきました。
的外れな質問でしたらすいません。
nekoさま (kimkimlr)
2011-10-06 22:07:45
うーん、保障の根拠は、その権利ごとにあります。
一般的な表現の自由と選挙運動の自由は、
性質が微妙に違うので、
保障根拠をかきわけるかな、と言う感じです。
なので、保障の根拠論は、
権利の性質がちがえば、違う理論をたてる
という感じです。
殺人の自由は、保護範囲に含まれるとすれば
一般的自由権なので、
一般的自由権の保障の根拠を論じることになるでしょうね。
ちなみに、「表現」にしても「集会」にしても
解釈を要する言葉なので、
憲法の文言だけで、保護範囲の解釈が必要ない場合というのは、
そんなにないはずです。
保障根拠 (neko)
2011-10-07 15:12:26
木村先生、コメントありがとうございます。
先生のコメントを受けて一晩考えたところ、以下の理解でよいのではないかというところまできました。
①「選挙運動の自由」が、ビラ配りの自由などと違い「集会の自由」や「表現の自由」など
と同格のように扱われている理由は、権利の性質が違うからである。
反対に、ビラ配りの自由は「表現の自由」の一形態であり権利の性質が同じだから
「表現の自由」の保障根拠論のみ論述して、保護範囲を確定し、それに含まれるか否かを検討すれば足りる(p145)。
②しかし、「集会」や「表現」と異なり、「選挙運動の自由」は21条1項と関連性があることがまだ説明できていない。
そこで、「選挙運動の自由」が21条1項の保護範囲に含まれることを説明する必要がある(p35)。
しかしそうだとすると、1つわからないところがあります。
現在説明してあるのは「選挙運動の自由」の保障根拠であって、それを解釈して導けるのは「選挙運動の自由」の保護範囲だけである。
21条1項の保護範囲を確定するためには21条1項自体の保障根拠が必要なのではないか?
または21条1項が明らかに保障している「表現の自由」の保障根拠からの解釈が必要なのではないか?
それとも、選挙運動の自由が21条1項の保護範囲に含まれることは論証なく当たり前として書いてもいいところなのか?
長くなってしまい申し訳ありません。
一言でもコメントいただけると嬉しいです。
>nekoさま (kimkimlr)
2011-10-07 16:29:19
うーんと、憲法では、一つの条項でたくさんの種類の権利を保障しているので、
あまり条文・条項ごとに権利を分けるという思考はとらない方がいいですよ。
こんな感じでどうでしょう?
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