春夏秋冬

日々流されないために。

徳島のうどん

2006年11月04日 13時11分34秒 | ふるさと・徳島

関東では、うどんと言えば、讃岐うどんが有名で、どこのスーパーなどでも、腰のある讃岐うどんと大書された冷凍の讃岐うどんが売られている。徳島うどんというのは聞いたことがない。徳島出身のわたしとしては、徳島のうどんも美味しいぞ、と思っているが、知名度において讃岐に負ける。
  
讃岐うどんは腰があって少し堅めが特長だが、徳島のうどんは、それほど堅くはない。しかし、わたしは郷里が徳島であるということを抜きにしても、徳島のうどんの方が好みだ。ただし、これは子供の頃から、そういううどんを食べてきたので、そう思うのだろう。
 
讃岐うどんで美味しかったのは、宇高連絡船での立ち食いうどん。これは、うまかった。宇高連絡船が現在ないので過去形でしか表現できないが、わがふるさと徳島においても、宇高連絡船のうどんのはなしをすると、昭和20年代後半から30年代前半利用した人は、恐らく100%の人が美味しかったと肯定する。
 
甲板のベンチに腰掛けて、連絡船がつくる白い泡が遠くの海に去っていくのを見ながら、うどんをすする。ひとつまみの、ふんわりと掛けられたかつお節と青ネギだけの素うどん。ここまで書いただけで、生唾が出てくる。関東では素うどんのことを、かけうどんと言っているが、かけうどんでは、わたしには感じがどうもつかめない。
  
宇高連絡船は、高松から宇野までの所要時間がほぼ1時間。気候のよいときは甲板で過ごすのがいちばん快適。女の方は日差しを気にして船室でいたが、当時、若いわたしはいつも甲板で海を見ていた。今は明石大橋ができて、宇高連絡船がなくなってしまった。和歌山と徳島を結ぶ南海汽船もなくなってしまった。船に乗る雰囲気は今はない。
 
この前、帰郷したら、徳島駅前にビジネスホテルができて、「つぼや食堂」と言ったと思うが、うどん屋さんが無くなっていた。残念なり。で、眉山のロープウエイ近くの元祖何とかと書いてあったうどん屋に入ったが、味がやや関東風になって、いまいち。連絡船のような素朴な素うどんを食べさせてくれるところは、少なくなった。


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