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ヘルペスが繰り返し発症するのは

2018-03-28 10:45:56 | 健康・医療
東京大学の研究グループが、単純ヘルペスウイルス(HSV)の新しい免疫回避機構を発見し、それをつかさどるウイルスタンパク質として「VP22」を同定したと発表しました。

本来いったん抗体ができて免疫を獲得すれば、2度と発症しないはずのウイルス疾患がなぜ何度もかかってしまうのかは興味がありますが、この記事はかなりわかりにくいものでした。

HSVは一度感染すると、宿主の免疫応答によって体内から排除されることなく、ヒトの体内に終生潜伏します。このことからHSVには、ヒトの多様な免疫応答から免れる高度な機構があると考えられています。

これはAIM2インフラマソームに対するHSVの阻害因子があるのではないかと長い間示差されていました。AIM2インフラマソームというのは、DNAのセンサータンパク質であるAIM2がDNAを認識して、多量体化することが引き金になって形成される巨大タンパク質複合体です。

さまざまな病原体由来のDNAによって活性化され、生体内での病原菌感染の阻害に関わるインターロイキン類を細胞外に放出するという、重要な自然の免疫応答を作り出しています。しかしHSVはDNAを遺伝子として持っていますが、AIM2インフラマソームが活性化されないことが分かっていました。

この研究ではまず、細胞にAIM2インフラマソームの構成因子、未成熟なインターロイキン類、および72種のHSVタンパク質をそれぞれ発現させ、培養上清に放出されたインターロイキンを測定しました。

その結果阻害因子としてHSVのタンパク質であるVP22を同定しました。このVP22はAIM2と結合し、その多量体化を抑制することで、AIM2インフラマソームの活性化を阻害していることも分かりました。

次にAIM2欠損細胞と野生型細胞に、VP22欠損ウイルスと野生型ウイルスを感染させました。VP22欠損ウイルスの場合は、DNAを遺伝子として持つ他の病原体と同様に、AIM2があればインフラソームの活性化が認められました。しかし野生型ウイルスの感染では、どちらの細胞でも活性化は認められませんでした。

動物実験として、AIM2欠損マウスと野生型マウスの脳内に、VP22欠損ウイルスと野生型ウイルスを接種し、ウイルスの増殖を比較しました。VP22欠損ウイルスの場合、AIM2欠損マウスでは脳内ウイルスが顕著に上昇していました。一方野生型ウイルスの感染では有意な差が認められませんでした。

以上の結果は、VP22によるインフラマソームの阻害が、生体内ウイルス増殖に重要であることを示しています。以上がHSVが何度も再発するメカニズムですが、これを基にしたHSV感染症の新しい治療法の開発につながると期待されています。

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