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ハダカデバネズミの長寿の仕組みを発見

2023-09-05 10:34:21 | 自然
哺乳類は身体の大きさでほぼ寿命が決まっているようですが、人間はこの基準によると50歳ぐらいとなるようです。なぜ人間が80歳以上の長寿になったかの説明もなかなか難しい問題です。

この異様に長寿なのが、アフリカ東部に生息するハダカデバネズミで、ハツカネズミが3年ほどに比べて10倍ほど長寿とされています。

熊本大学の研究グループが、このハダカデバネズミの体内では加齢に伴い蓄積する老化細胞が、細胞死を起こしてたまりにくくなっていることを発見しました。

マウスやヒトなどの細胞では、遺伝情報であるDNAが傷つくなどすると、その細胞は分裂して増殖するのを止めて老化細胞となります。老化細胞は「死ねない細胞」などと呼ばれており、免疫細胞によって除去されないでいると加齢に伴い蓄積していきます。

生体の恒常性維持に役立つものの、蓄積が進むにつれ炎症性タンパク質の生産など体に害になる作用を引き起こすようになります。

ハダカデバネズミは、アフリカのサバンナの地下に堀田トンネルを巣穴として生息するげっ歯類で、飼育下で37年以上も生きている個体がいるなど長命で知られています。老化が極端に遅く、ガンにもなり難いようです。

研究グループは、このハダカデバネズミとマウスの老化細胞を比較することで、老化耐性の仕組みが分かると実験を行いました。実験ではハダカデバネズミとマウスの皮膚から線維芽細胞を取り出し、DNA損傷を起こす薬品を添加し、いつどのように老化細胞ができるかを観察しました。

両者とも薬品を加えないと細胞が増殖していましたが、薬品を加えると増殖が止まった老化細胞ができました。その後マウスでは老化細胞はそのままでしたが、ハダカデバネズミはアポトーシス(細胞死)を起こすものが時間の経過に伴い増えていきました。

次に両者の線維芽細胞が老化細胞になる前後で生じた代謝生成物に何が含まれているかを調べました。

この結果ハダカデバネズミにおいて生理活性物質のセロトニンの蓄積があり、老化細胞になった後についてはセロトニン代謝に関わるモノアミン酸化酵素(MAO)のタンパク質量の増加と、セロトニンがMAOを介した代謝によって生じる5-ヒドロキシインドール酢酸が増えていました。

一方マウスではこのような蓄積や増加はみられませんでした。これらからセロトニンがMAOを介して代謝されるときに細胞内に生じる過酸化水素によって細胞死が引き起こされる仕組みが判明しました。

つまりハダカデバネズミは老化細胞を速やかに除去することによって、老化を阻止していると言えるようです。

近年開発が進められている老化細胞除去薬において、ヒトでの安全性を高めることに繋がる知見が得られると期待できるとしています。


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