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エクソシストの悪魔憑きと脳の自己免疫疾患

2023-12-28 10:36:37 | 健康・医療
私はホラー映画が好きでよく見ていましたが、あくまでテレビ放映であまり映画館まで行ったことはありません。

この代表作である「エクソシスト」の主人公のモデルが、脳の自己免疫疾患であったという説が出ていました。いわゆる「悪魔憑き」の行動が「抗NMDA受容体脳炎」という病気であったという仮説です。

NMDA受容体は、正確には「N-メチル‐D-アスパラギン酸(NMDA)型グルタミン酸受容体」となっています。脳の神経細胞に発現している受容体で、それに対する自己抗体ができることで引き起こされる病気です。

なぜこのような神経細胞の受容体に特異的な抗体ができるのかは、正確には分かっていません。この病気は若い女性に多く、また卵巣の奇形腫を伴う例が多いことが知られており、傍腫瘍性辺縁系脳炎とも呼ばれます。

奇形腫や腫瘍ができたときに抗体がつくられ、その中にNMDA受容体に対する抗体があった場合、その抗体が受容体の働きを抑制します。神経伝達が阻害されて脳が正常に機能しなくなり、統合失調症のような症状を示すと考えられています。

300万人に1人の難病ですが、日本でも年間1000人程度が発症しているのではないかと言われています。原因不明の神経疾患と思われていた難病が、実は免疫疾患であるのがナルコレプシーです。これは古くから知られていた奇病のひとつで、日中に突然強い眠気が出現して、眠り込んでしまう病気です。

試験中や仕事の打ち合わせ中にも眠り込んでしまうので、怠け者と捉えられることもありとても厄介な病気です。日本人のナルコレプシーの有病率は世界で最も高く、600人に1人とみられています。

ナルコレプシーは、脳で作用するオレキシンというペプチドを産生する神経細胞が働かなくなることによって起こります。発症年齢は10代から20代前半と、若い人たちに多いのが特徴です。

神経細胞を傷害する自己反応性T細胞の一部は、オレキシン以外にもインフルエンザウイルスに由来するタンパク質のペプチドも認識することが示されています。

つまりウイルス感染によって増殖したT細胞が、よく似ているオレキシンにも反応してオレキシンニューロンを傷害しているのではないかと考えられています。感染を発端とする自己免疫疾患は、他にも多発性硬化症などで指摘されています。

このように従来奇妙な行動などで、精神疾患と考えられていたものが、実は自己免疫疾患であるという例はこれからも出てくるのかもしれません。自己免疫疾患であれば対処の方法も色々あるようですので、これからは正確な診断が重要となるのかもしれません。


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