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脳梗塞を再生医療により治療

2021-10-03 10:28:45 | 健康・医療
脳卒中についてはこのブログでも取り上げていますが、この歳になるといつ発症してもおかしくない病気として気になるところです。

北海道大学の研究グループが、脳梗塞のひどい後遺症の患者に、本人の骨髄から取り出した自家骨髄間質幹細胞(BMSC)を脳内に移植して機能回復を目指す医師主導治験の結果を発表しました。

個人差が大きいものの、自力で歩行できる例もあり機能回復が推定される結果であったとしています。

研究グループはこれまで、BMSCが脳内で生育し増殖すること、脳梗塞部に直接投与することで障害部位に遊走し神経細胞に分化することなどを報告しています。培養し増殖させた自家BMSCを少数例の脳内に直接投与する治験を国内で初めて開始しました。

この治験は2017年に開始し、2021年4月に終了しています。対象は脳梗塞発症後14日時点で重度の麻痺をきたした患者7例です。患者から採取した骨髄細胞を細胞プロセッシング室で培養・加工して自家BMSCを製造し、発症から約2か月後に手術により脳梗塞周囲に投与しました。

その後1年間の観察期間における安全性と有効性をリハビリ機能評価やMRI検査などで確認しました。その結果安全性に関しては、重篤な合併症は認められませんでした。

対照群が存在しない単群試験であるため、有効性を厳密に評価することはできなかったものの、自力での歩行が回復するなど一定の有効性が推定されました。

自家BMSCが脳内の損傷部位に移動することや、脳梗塞周辺の神経細胞が活性化していることなどを画像検査で確認できたようです。国内では年間30万人が新たに脳梗塞を発症し、多くの患者が死亡または重度の後遺症が残っています。

手足のまひや歩行障害などの機能障害が生じることが多いのですが、神経機能を回復させる有効な治療法はありませんでした。

また脳梗塞は血管閉塞を生じてから脳神経組織が障害されるまでの時間が極めて短く、リハビリの効果が限定的であるなど治療効果は満足できるものではありません。

こういった損傷を受けた脳細胞に再生医療を施すという試みは盛んになっており、ミューズ細胞やiPS細胞から誘導された脳幹細胞などの基礎研究が進んでいます。しかし一旦損傷を受けた脳神経細胞がどこまで再生するかが課題であり、また多額の費用がかかることも問題のようです。

今回の自家骨髄間質幹細胞を用いる方法は、完全に患者自身の細胞であることや、損傷部位に広がることは確かなようですので、次世代の治療法として期待できるのかもしれません。

こういった臨床試験が、他の新薬などと同じ範疇でやる必要があるのかは分かりませんが、もっと大規模な臨床試験を予定しているようです。


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