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幻聴や幻覚が起きている時の「脳の働き」

2023-05-18 10:35:57 | 自然
私は幻聴や幻覚ということをほとんど感じたことがありませんが、「脳の認知」が関与しており最近その解明が進んできたようです。

脳が何かを認知するときの情報の流れには、現実に体感している五感からのボトムアップと、脳内で形成される記憶や予測などのトップダウンの二つの方向があります。

その両方が働かないと、人の表情を正しく読めないでしょうし、極端に言えば道路を横断することもできないでしょう。前頭前野などの高次脳部位で経験や記憶によって見たものが何か予測したり、「これを見たい」といった関心を向けたり手足に運動の指令を出したりする情報の流れがトップダウンです。

脳が何かを認知する過程では、ボトムアップとトップダウンの情報が統合されるという説が注目されています。五感から同じボトムアップ情報が脳に届いても、自身の体験・記憶に基づくトップダウン情報によって認識の内容が変わってしまいます。

例えばわきの下をくすぐる例ですが、わきの下を他人が触った場合はくすぐったく感じ、自分がくすぐった場合にはくすぐったくありません。

自分の場合には、手を動かす運動指令のトップダウン情報によって、脳内の体性感覚野における活動、つまり触覚のボトムアップ情報が抑えられるからだと考えられます。もしその脳内配線が切れていたら、自分でわきの下を触ってもくすぐったく感じるでしょう。

神経回路の配線が正常でも、トップダウンの予測の間違いが原因でさまざまな認知のエラーが起き、錯視がその例です。逆三角形の丸や線のような模様や物体が顔に見間違えてしまうことがあります。

これはヒトの顔を識別して表情を読み取ることは、生きていくうえで大変重要なので、脳にある記憶の中で顔や表情に関する情報量が最も多く関心が強いためです。

錯視だけでなく実際には存在しない感覚が現れる幻覚も、トップダウン情報とボトムアップ情報のバランス障害、もしくはトップダウン過剰(予測亢進)によって理解できます。

実際真っ暗な防音室で触覚刺激もない中で4〜5日間過ごすと、被験者の半分ぐらいが幻視を体験するようです。

感覚情報が遮断されると、トップダウンとボトムアップのバランスが崩れて、眼からの感覚入力がないのに、脳内の視覚野が予測トップダウン情報だけで勝手に活性化されて、見えないものが見えてしまうのです。

怖い怖いと思ってしまうと、居るはずのない「オバケ」が強いトップダウン情報(予測)として脳の視覚野領域を活性化して見えてしまうことになります。

このように脳は常に自発的に活動しているため、五感からの情報で統制をかけているとしています。精神疾患が無くても、幻視や幻聴はちょっとしたことで起こりうるということかもしれません。


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