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ガンの粒子線治療に新機材

2020-05-11 10:24:55 | 健康・医療
切除が難しいガンが見つかった時、有力な選択となる粒子線治療ですが、消化管が集まる腹部に照射すると正常な臓器が損傷する恐れがあり、治療できないケースもあるようです。

この課題の解消につながる新しい医療機器が昨年末登場し、治療の可能性が広がりました。

ガンの治療は手術、薬物療法、放射線治療の三つが基本です。放射線治療は、手術の負担に耐えられない高齢者や、切除が難しい部位にガンができた人に適しており、手術後の再発や転移を防ぐ目的でも行われています。

粒子線は放射線の一種で、重粒子線や陽子線があり、炭素イオンや陽子などの粒子を加速させ狙ったガンをたたくものです。エネルギーの集中度を高め、ピンポイントで照射でき、ガン周辺の臓器への影響も最小限に抑えられます。

しかし消化管は粒子線に当たると穴が開くなど、損傷を受けやすいとされています。腹部や骨盤内には消化管が集まっており、ガンの部位によっては粒子線治療を断念せざるを得ない患者もいました。

従来は治療の前に開腹手術を行い、ガンの部位と正常な臓器の間に医療用のシートなどを挟む方法がありました。粒子線の影響を最小限に抑えるためで、照射後もシートを体内に残しますが、硬化などによる違和感から再び手術で取り出すこともあったようです。

治療に伴う患者の負担を減らすため、神戸大学の研究チームの開発品が「ネスキープ」と呼ばれる医療材料です。粒子線を遮断・低減する効果に加え、手術で使う縫合糸と同じ材料のため半年余りで水や二酸化炭素に分解されます。

患者5人を対象とした治験では、ガンのある部位と正常な臓器の間にネスキープを挟み、粒子線治療を行ったところ正常な臓器に影響は出ませんでした。

肝臓ガンの男性患者(48)の例が出ていましたが、6センチの大きさのガンで消化管に近接している状態で、このネスキープを使用しています。兵庫県立粒子線医療センターでの治療を受け、ガンは画像検査で確認できないほど小さくなったとしています。

ただ問題はこの治療が約500万円と高額なこととしています。ネスキープは昨年12月医療機器として公的医療保険の対象となりましたが、粒子線治療は前立腺ガンや頭頸部ガンなどに限られています。

それ以外は先進医療として自費と保険診療の併用となってしまいます。粒子線治療は、このネスキープによって血管や神経を巻き込み手術が難しくなっている、膵臓ガンにも選択肢が広がると期待されています。


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