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思春期に多い「腰椎分離症」

2020-07-22 10:37:35 | 健康・医療
ここでは中年から高齢者に多い病気を取り上げていますが、たまには若者の病気ここでは「腰椎分離症」を紹介します。

背骨の骨と骨との連結を担っている関節突起を「くびき」を意味するギリシャ語で呼ばれています。くびきとは、一対の牛馬の首につけて荷物を引く道具ですが、比ゆ的に二つのものをつなぐものを指します。

腰は支持性と可動性の相反する機能を要求されていますが、分離症ではこのくびき部分の亀裂によって、それらの機能が不十分となり、かつ腰痛(亀裂部が軟骨で満たされることによる)を引き起こします。分離症に加え、分離した腰椎が前後にずれる状態が「腰椎分離すべり症」となっています。

腰椎分離症は、下方の腰椎、とりわけ第5腰椎の関節突起間部に起きることが多いようです。この場合スポーツによる激しい痛みを自覚しますが、通常は腰からお尻、さらには太ももの後ろに重苦しい、漠然とした痛みを感じる程度です。

分離症のみでは、他の腰の異常でみられるような脚のしびれを伴うことはまれです。アラスカ先住民に高頻度でこの分離症がみられることから、遺伝的ないしは先天的な原因が存在するのでは、と考えられていた時期もありました。

しかし現代では、骨格が未熟な成長期に過度なスポーツを行ったことで発生する疲労骨折と判断されています。関節突起間部はレントゲンで、ちょうど「テリア犬の首」のように見えますが、分離症ではこのテリアの首にひびが入ったような状態となります。

進行するとその首が分断されたような像となります。診断にあたってはこの亀裂を確認することが必要なため、レントゲンだけでなくMRIが広く用いられています。

成人でも4〜7%の頻度で分離症が見られ、スポーツマンではその4〜5倍と多くなり、特に重量挙げ、ボート、柔道、器械体操などの選手での頻度が高くなります。この場合思春期に発生した分離が、軽い症状を繰り返していることが多いようです。

たとえ思春期に分離を指摘されていても、その後は症状が出ないケースもあり、それほど心配しなくても良いようです。思春期での分離症診断の原則は、早期発見、早期治療につきます。

分離が発生した初期は亀裂はわずかですが、無理を続けているとそれが広がり、場合によっては偽関節(骨がくっつかなくなった状態)を作ってしまいます。早期に発見しコルセットなどを使用して安静を保っていれば、亀裂が再びくっつくことが期待できます。

若い内は十分な運動が必要ですが、成長期には過度のスポーツを行わないことが重要なようです。何事もほどほどにということかもしれません。


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