ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

「不眠症」の有病率には大きな差

2021-04-28 10:20:02 | その他
何かの病気が気になった場合、国内でどの程度の患者がいるかという「有病率」というのは気になるところです。

これはネットで病名と患者数などで検索すると簡単に出てきますが、病気の種類によってはかなりばらついていることがあります。

この有病率は国の健康施策や、将来必要とされる病床数や医療サービスを地方自治体が整備する計画に必要不可欠な情報です。そのためガンや生活習慣病などのメジャーな疾患については、厚生労働省などが国の事業として大規模調査を行い罹患実態に関する正確なデータを集めています。

ところがそれ以外の大多数の疾患の有病率については、個別の研究者などが行う中小規模の調査が多く、病気の定義やデータの収集方法によって結果にばらつきが生じることがあります。

しっかりとした有病率を算出するには、「データの代表性」と「診断精度」が重要なポイントとなります。データの代表性とは、その有病率のデータが日本全体における平均的な罹患状況を正しく反映しているかどうかという点です。

例えば企業の健康診断時に調査を行ったとしても、対象は企業に勤めている加入者本人に限られてしまうため、高齢者などが除かれとても平均的な罹患状況とはなりません。

また特定の地域の全員を調査しても、その地域の人口分布が日本全体と合致していなければやはり平均とはならないわけです。

こういったバイアスを避けるため、全国を多数のブロックに分類して、国勢調査などのデータをもとに調査人数を決め、各地点ごとに対象者を無作為に選ぶなどの方法があります。これは「層化二段無作為抽出法」と呼ばれる調査方法ですが、これはとても手間や費用がかかってしまいます。

二番目の「診断精度」が重要なことは確かで、血圧や血糖値測定など比較的簡便な検査で高精度な診断が可能なものもありますが、例えばタイトルに書いた不眠症などを確定診断するには、「睡眠ポリグラフ検査」などの特殊検査を行わなければならない場合も多くなります。

また不眠症は毎晩出るわけではありませんので、正確な診断をするためにはかなり長期間の調査も必要となります。そのためアンケート形式などで調査してしまうと、その精度はかなり不確実なものとなってしまうわけです。

こういったことからネットなどに記載してある有病率は、ある調査に基づいたものではあるのですがデータの代表性と診断精度が必ずしも担保されているわけではありません。私は時々公的機関の調査結果であっても、ちょっとおかしいのではと疑問に思うこともあります。

有病率などはかなり大雑把な概数が分かればよいという感じで見ていくことが必要なのかもしれません。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿