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人工視覚の最近の進歩

2018-12-08 10:17:07 | その他
視力をほとんど失った人に「光」を届けるという医療機器の開発が本格化してきているようです。すでにアメリカでは承認されたものがあり、日本のチームも新たな製品の開発を目指しています。

現在開発中の人工網膜は、耳の後ろに無線通信できるコイルを埋め込み、コイルから体内ケーブルで繋がった小型のチップを眼球の強膜と呼ばれる膜に取り付けるものです。

これが視覚を生みだす仕組みは、まず眼鏡のフレームに取り付けた小型カメラが、目の前の光景を撮影します。その映像は体外装置に送られ、49個の点の画像に変換され、この画像を電気信号として伝えるケーブルが耳の後ろにつながっています。

そこから体内に埋め込んだコイルに無線通信で伝わり、体内ケーブルで眼球のチップまで届くという仕組みです。チップは約6ミリ四方で、厚さ約0.3ミリという小さなもので、小さな電極が縦横に7列、計49個並んでいます。そこから出た電気信号が、強膜の内側にある網膜の細胞を刺激し、神経を通じて脳に伝わるようになっています。

この人工網膜は、大阪大学などのチームが2001年から開発を進めてきたものです。動物実験を経て、2008年に網膜色素変性症の患者4人を対象に安全性を確認する臨床研究を実施しました。

2010年には同じ病気の患者2人に1か月間取り付けました。その後14~15年には、3人の患者に人工網膜を1年間取り付ける臨床試験をしています。対象は病気で視力が落ち、光の方向が分からなかったり、目の前の手の動きしかわからなかったりする患者です。

この結果白線を歩くテストなど、3人とも何らかの指標が改善しています。大阪大学の研究チームは、「このシステムで活字を読むのは難しいが、駅のホームからの転落を防いだり、自立した生活を助けることができるかもしれない」と話しています。

電気で脳や目を刺激すると光が見えるということは、20世紀前半からわかっており、電気信号で視覚を再現する方法が1970年代には試みられていました。90年代に埋め込み型の機器で網膜を刺激する「人工網膜」の研究開発が進みました。

アメリカではすでにこのタイプの人工網膜システムがFDAに認可されています。また岡山大学は、全く違うタイプの人工網膜の研究を進めています。

光を吸収して電位差を生む特殊なフィルムを、網膜の裏側に入れる仕組みで、カメラやケーブル、電源は必要ありません。

このような人工網膜の研究は色々と進歩しており、光を失った人たちが本を読んだりテレビを見るのは無理かもしれませんが、自立した生活を送ることは可能になるのかもしれません。

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