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血液の機能を超える「人工赤血球」

2020-07-04 10:33:18 | 健康・医療
新型コロナウイルスによる外出制限などを理由に、輸血用の血液が不足する事態が起きています。

世界各国で血液の確保が緊急の課題となる中、今注目されているのが新たな赤血球の開発です。米国のニューメキシコ大学などの国際研究チームが、赤血球と同等の機能を持つ「人工赤血球」を開発しました。

赤血球元来の機能を兼ね備えただけでなく、それ以上の機能を持つ高性能な赤血球が誕生したと話題を呼んでいます。この人工血液の研究は世界中で行われており、日本でも早稲田大学などの研究グループが成果を発表しています。

赤血球からヘモグロビンを高純度で取り出し、それを脂質二重膜層で被覆するといった方法で、人工赤血球を作り出しています。

今回研究チームが発表した人工赤血球は、「再構築赤血球(RRBC)」と呼ばれ、まさに人間の赤血球から再構築する手順で作られています。まず血液から採取した赤血球を「シリカ」と呼ばれる物質でコーティングします。

その周りに正と負に帯電したポリマーを塗装し、内部のシリカを除去して赤血球の「レプリカ」を完成させ、さらに赤血球の膜で覆って仕上げられています。実験では、この人工赤血球に柔軟性があることも立証されました。

形状を変えて細かな毛細血管にまで行く届き、その後かたちも元に戻ります。そのため体内の隅々にまで酸素を循環させることができるようです。

大きさや形だけでなく、酸素の運搬能力も本物の赤血球と類似しているため、赤血球としての機能を十分に果たすとされています。またマウスの体内に投与した場合、人工赤血球は体内に48時間持続し、4週間たっても毒性は見られませんでした。

科学ニュースサイトによれば、これまで各国で様々な人工赤血球が開発されたものの、赤血球の機能をすべて備えるものではありませんでした。今回開発された人工赤血球は、元来の赤血球にとって代わることができるだけでなく、さらなる可能性も秘めています。

人工赤血球の中に薬剤などの物質を入れ、磁気誘導で自在に動かすことができるようです。例えば体内の局所を狙って送り届けるといった働きができるため、別な化学ニュースサイトはガン治療などにも期待ができると伝えています。

実用化に至るまでにはまだ時間がかかるとみられていますが、研究チームは毒素を検出するなどさらなる可能性も示唆しています。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で逼迫する医療業界に一縷の望みをもたらしたのがこの人工赤血球といえます。

今後人間の手によって生み出されたこの小さな個体は、現代の想像をはるかに超えた医療革新をもたらしてくれるかもしれません。


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