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非喫煙者で増加している「肺ガン」

2021-07-08 10:25:45 | 健康・医療
現在のコロナ禍において、患者の受診控えや検診控えが多くなり、コロナ以外での死者数の増加が懸念されていましたが、超過死亡者数を見る限りではあまり影響は出ていないようです。

むしろ過剰医療が抑えられたため、死亡者数が減少の傾向にあるとしています。国立がんセンターの最新ガン統計によると、2019年の最も死亡者数の多かったガンは肺ガンとなっています。

近年は特に非喫煙者の肺ガンが増加するなど、傾向が変化し肺ガンは喫煙者だけの病気ではなくなっているようです。厚生労働省によれば、日本の成人男性の喫煙率は1966年に83.7%まで上昇した後徐々に減少し、2018年には27.8%まで減っています。

これに伴い喫煙によって生じる肺ガンの患者数は減少傾向にありますが、肺ガンで亡くなる人の人数は男女ともに年々増加しています。肺ガンによる死亡者数の増加の理由のひとつに、高齢化に伴うガン全体の死亡数の増加が挙げられます。

さらに肺ガン特有の理由として、喫煙に関係なく発症する「肺腺ガン」の発症数が増加していることもあるようです。肺腺ガンは現在肺ガンの中で最も多いガンで、症状が現れにくくCT画像検査をしなければ見つけることが困難です。

肺ガンは男性に多いというイメージがありますが、肺腺ガンは女性に多いことが特徴です。疫学上では喫煙習慣の有無に関係なく、男性より女性の方が肺ガンに罹り易いという報告もあります。

この理由は明らかになっていませんが、X染色体や女性ホルモンなど女性しか持たない何らかの特徴が肺がん発症に関与しているのではないかと考えられています。

肺腺ガンなど肺ガンのほとんどは原因が明らかになっておらず、予防は難しく検診によって早期発見して、速やかに適切な治療を行うことが大切です。しかし現在国が推奨している肺がん検診では、肺腺ガンの発見がしづらい状態になっています。

肺腺ガンの発見にはCTによる画像診断が有力で、アメリカでは肺ガン検診にCT検査を導入することにより、肺ガンの死亡率が20%も減少するというデータも報告されています。

現在日本で行われている肺ガン検診は、胸部X線検査と喫煙者に対する喀痰細胞検査のみです。この胸部X線検査で肺ガンが見つかることはほとんどないのが現状のようです。ここでは肺ガン検診にCT検査を導入すべきと強調していますが、なかなか難しい問題と言えます。

胃ガン検診にもバリウム検査ではなく胃カメラでの検診を導入すべきという意見があるのと同様です。確かに確定診断はできるかもしれませんが、99%の人は健康ですので、胃カメラやCT検査を入れるということは、装置や費用の面からも難しいのではないでしょうか。

この辺りが現行のガン検診の限界と言えるのかもしれません。


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