ごっとさんのブログ

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「色」は光にはなく脳の中にある

2020-11-12 10:21:07 | 自然
私たちは普段何かを見ると、意識せずにその色を認識しています。光の波長によって色が決まるなどの基礎知識はありますが、そのメカニズムはかなり複雑なようです。

網膜にある視細胞には、桿体(かんたい)と錐体(すいたい)があって、桿体は薄暗いところでの「薄明視」用、錐体は明るいところでの働き色覚に関係しています。

視細胞が光を感じ取るには、視物質が必要でオプシンというタンパク質とレチナールという色素でできています。レチナールの方は、脊椎動物ではだいたい決まったものが使われるので、様々な色覚の違いは主にタンパク質のオプシンのバリエーションによってもたらされます。

ヒトの錐体は、赤、緑、青の3色に対応するオプシンを持っています。次にこのオプシンを使って色覚というのをどうやって実現しているかという問題です。

基本的な点として、色は光線や物質についているものではないということです。つまり光の波長を識別する能力に応じて、「脳が色を塗っている」といえるようです。

ヒトの場合、光の感受性の異なる3種類の錐体、L、M、Sがあります。波長がロング、ミドル、ショートという意味で、赤、緑、青ということもあります。3種類の視細胞、錐体細胞、言い換えると3種類のオプシンがあるわけで、この3つのアウトプットの比率が色になるわけです。

ヒトの場合は3種類ということで「3色型」と呼んでいます。多くの哺乳類、例えば身近なイヌやネコはMオプシンがなくて、L(赤)とS(青)だけで、2色型色覚となっています。

これがどんな色の世界かは分かりませんが、イヌが白黒の世界といわれるのは間違いで、青と黄色の世界といった方が近いようです。この2色型というのは、ヒトでの「赤緑色盲」に相当するようです。

3色型とはかなり異なり、色の種類は少ないのかもしれませんが、生活するにはそれほど困らない程度の色覚といえるのかもしれません。面白いのは鳥類で、3色型にさらにVS(ベリーショート)という紫外線のセンサーを持っています。

ヒトは3次元の色空間を持っているわけですが、鳥は4次元ですので3次元では表せません。多分ヒトが一色の花と感じているものに、鳥は模様を見ているのかもしれません。脊椎動物の共通の祖先の段階で、こういったオプシンは出そろっていたと考えられるようです。

猫に美味しそうな色のエサを与えたとき、猫にはどんな色に見えているのか、我々とは違った色に見えているはずです。

こうしてみると色は光や物についているのではなく、脳が塗っているというのが実感できるような気がします。


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