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日本の焼酎とウイスキーの決定的な違い

2023-04-04 10:33:59 | グルメ
昔なじみの居酒屋で飲んでいる時、当時幻の焼酎といわれた「森伊蔵」が手に入ったと、お猪口に少量飲ませてくれたことがありました。

小さな氷とともにいわゆるロックで飲んだのですが、確かに何とも言えない味わいがあり、感激した記憶があります。身近な存在ですが、焼酎は非常に特殊な蒸留酒といえるようです。

どんな原料でも焼酎にできて、蒸留酒なのに新酒でも旨く健康にも良いとされています。蒸留すればただの「湯気の集まり」のはずが、さまざまな個性的な風味も持っています。同じ蒸留酒ですが昔から飲まれているウイスキーとは「決定的な違い」があるようです。

ウイスキーは麦芽を使う単行複発酵方式で、まず麦芽を60℃程度の温水に浸漬し麦芽のデンプンを麦芽の酵素で糖化し、この糖化液を30℃程度に冷却して酵母を添加し3日前後というごく短期間で発酵させます。

麦芽糖化液の糖濃度が高いと、濃度圧迫と呼ばれる発酵阻害が起きるために低い糖濃度で発酵させるので、発酵モロミはアルコール分7%程度ぐらいにしかなりません。蒸留しても20%程度にしかならないので、これをもう一度再蒸留して高濃度のアルコールを得ます。

つまりウイスキーの蒸留は、アルコール濃度を高めることを目的としています。汚染を防ぐために密閉容器で発酵させるので発酵中の蒸散成分が少なく、焼酎のような開放状態で高温長期発酵させる条件では揮散してしまうアルデヒド類などの成分が、ウイスキー原酒にはそのまま含まれています。

このため蒸留したての原酒は香味のバランスが悪く、樽の長期熟成による成分変化が必要となるのです。これに対し焼酎は、麴を使う並行複発酵方式を取り、2〜3週間発酵させるのでアルコール度の高いモロミができ、それを1回蒸留することで高濃度のアルコールが得られます。

カメやタンクなどの発酵容器で開放状態のまま発酵させるため、揮発性のガス臭と呼ばれる成分は発酵中に大部分が揮散します。こうした方式により出来立ての新酒の状態で十分美味しい焼酎を作ることができるので、長期熟成の必要がないのです。

例えば芋焼酎のモロミのアルコール度は14度程度ですが、これを蒸留すると37度程度の原酒を1回の蒸留で得ることができます。原酒を水で希釈して25度に調整します。焼酎の蒸留はアルコール度を高めるためではなく、アルコールを取り出すために蒸留しているといえます。

焼酎を水やお湯で割って飲むのは、日本人のアルデヒド脱水素酵素が少ないという体質も影響しているようです。私はウイスキーを水割りで飲んでいますが、いわば日本人的な飲みかたといえます。

アルコール度を高めるために蒸留しているウイスキーを割って飲むのは、本来の意味と違っていますが、美味しく楽しく飲むための工夫は個々に違っていても良いような気がします。


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