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「アスピリン喘息」に治療法を発見

2020-09-08 10:32:54 | 
長年にわたって「有効な治療法がない」とされてきた「アスピリン喘息」に対して、現場の医師が自己判断で投与してきた治療薬の有効性が証明されました。

私の母も長年喘息で苦しんでいましたが、抗原はサバなどの青魚が見つかっていましたが、それ以外でも発作を起こしアレルゲンの特定はできていませんでした。

アスピリン喘息は成人後に発症する喘息の約10%を占めるもっとも重症化しやすい病気で、生命の危険を伴う強い発作を起こす可能性もありますが、知名度は広がっていませんでした。

アスピリン喘息という病名は通称で、実際はアスピリンだけではなくほとんどの解熱鎮痛薬で、息苦しさ(喘息発作)や鼻づまり、鼻水などの過敏症が起こることから現在は「NSAID過敏喘息」と呼ぶのが正しいとされています。

この原因は不明で、この過敏体質は一生続くようです。ノーシン、ロキソニン、バッファリンなど、ピリン・非ピリンに関わらず、またアスピリン・非アスピリンに関わらず、ほとんどの痛み止めや熱を下げる薬(解熱鎮痛剤)が原因となるため、一度アレルギー症状を起こした人は、たとえ軽症であってもこれらの薬が飲めなくなります。

テレビで頻繁にCMが流されていることでも分かるように、頭痛や生理痛で解熱鎮痛剤を服用している女性は大勢います。毎度寝込んでしまうほど痛む、月経困難症や子宮内膜症の女性にとっては、飲める痛み止めがないのは大変な恐怖です。

さらに歯科治療時の局所麻酔ですら使用できなくなり、いわゆる医療難民となってしまいます。それでも実際はセレコックスやアセトアミノフェンは使用可能な薬のようですが、薬の添付文書にはアスピリン喘息には使用禁忌と記載されています。

この辺りは医師の経験から出ていますので、一般に広がることは難しいようです。今回このアスピリン喘息の治療薬が報告されました。これは抗IgE抗体の「オマリズマブ」という薬で、IgEが関与する重症アレルギー性喘息などに対して使用され、安全性が確立されている薬です。

これまで非アレルギー性とされるアスピリン喘息に対する効果は誰も予想していませんでした。

16例の患者に、オマリズマブもしくは偽薬を4週間に1回、合計3回二重盲検比較試験で皮下注射する臨床試験を実施し、オマリズマブが症状の改善だけでなく、特徴的な4つの病態(NSAID過敏、アレルギー物質過剰生産体質、副鼻腔炎症状、喘息症状)すべてに効果があることが証明されました。

これによってすぐにアスピリン喘息に対するオマリズマブの適用追加がなされるわけではありませんが、この研究の進展により50年間放置されてきた重症アスピリン喘息の治療に貢献することが期待されています。


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