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奈良の昔はなし(聖林寺のお地蔵さん)

2019-12-22 07:14:14 | 地域と文化

奈良の昔はなし~聖林寺のお地蔵さん~

  今回は、桜井市にある聖林寺の大きな石のお地蔵さんのお話しです。

昔、このお寺に文春和尚(もんしゅんわじょう)という偉いお坊さんがおられました。かねてからお地蔵さんを造りたいと願っていたのですが、このあたりにはよい石はあるが、仏像を彫る仏師がいなかったのです。

困っていると、ある夜の夢で、但馬(たじま)の国(兵庫県)によい仏師がいると告げられたのです。翌朝、早速、但馬の国へ出発しました。

夕方、奈良まで来ると、向こうから三人連れの男たちが来たのです。

「もしもし、どちらへお出かけじゃ」

「はい、私どもは但馬の国の仏師でごだいます。よい石がなくて困っていましたら、夢で大和に立派な石があると知り、喜び勇んで来ました。」

「ほう、それはよかった。私も、夢のお告げで但馬の国に立派な仏師さんがいると教えられ、出かけて来たところじゃ」

文春和尚は大喜びで、早速、その仏師らを連れて寺へ戻ったのです。そして、次の日から、仏師らはお寺でお地蔵さんを彫ったのです。こうして完成したのが、今も、子授け、安産の仏として広く信仰を集めているご本尊のお地蔵さんなのです。

~昔はなしゆかり地「聖林寺」~

寺伝では、和尚の姉が幾度も出産で難儀したためとも言われています。今のように医学が進歩していなかった江戸時代、お産にまつわる悲劇も多かったであろう。このお地蔵さんが信仰を集めたわけもうなずけます。

聖林寺は、桜井市の南、多武峰(とうのみね)の談山神社(たんざんじんじゃ)に向かう途中、山並みの中腹にあります。高台のお寺から北を望む眺めはまさに絶景です。右手に秀麗な稜線の三輪山、その麓に広がる大和盆地には、卑弥呼(ひみこ)の墓ともいわれる箸墓古墳、近くには邪馬台国(やまたいこく)かと注目されている纏向遺跡(まきむくいせき)もあります。

明治のはじめ、神仏分離の嵐の中で危機にあった仏像を、芸術作品として再評価したフェノロサ。彼が絶賛した国宝十一面観音像の寺としても有名です。

               

真冬の冷たい風が肌をさす中、山麓を流れる寺川の冴えたせせらぎの音が懐かしく感じられます。

 聖林寺ですが、和銅5年(712年)、妙楽寺(現在の談山神社)の別院として、藤原鎌足の長子である定彗によって創建されたといわれています。天平彫刻の傑作の一つとして非常に有名な木心乾漆十一面観音立像(国宝)は、和辻哲郎が著書「古都巡礼」の中で絶賛するほどです。現在でも造立当時の姿のまま安置されています。本尊丈六子安延命地蔵は江戸時代の作で、安産と子授けの信仰が厚く、多くの人が祈願に訪れています。多武峰山麓の中腹に位置しており、境内からは三輪山や箸墓古墳をはじめとする大和盆地を一望のもとに見渡すことができます。

 

            

聖林寺では、毎月18日(7・8・11・12月を除く)14:00~写経の会が開かれています。拝観料込みで2000円となっています。(抹茶接待付き)

また、毎月(8月は除く)第1木曜日、10:30~12:00にヨガ教室が開かれています。参加料はハーブティー付きで1500円です。(但し行事と重なる時は変更されることがありますので、確認してください。また、3日前までに予約が必要です)

聖林寺へは

JRまほろば線桜井駅または近鉄大阪線桜井駅から談山神社行きバスで「聖林寺」下車

聖林寺:http://www.shorinji-temple.jp  TEL:0744-43-0005 FAX:0744-43-9505