~住宅ローン減税の緩和措置「すまい給付金」~
平成25年10月1日の閣議決定により消費税が5%から8%に引き上げられ、一時的な税負担の増加による影響を平準化するため、住宅ローン減税では限定的な所得層に対して不公平が生じ、それを緩和するためにすまい給付金制度ができました。しかしまた、今年の10月1日より消費税が10%に引き上げられますが、それに伴いすまい給付金制度はどうなるのか調べていきましょう。
◎すまい給付金とは
すまい給付金とは、引上げ後の消費税率が適用される住宅を取得する場合、引上げによる負担を軽減する制度です。
住宅ローン減税は、支払っている所得税などから控除する制度ですので収入が低いほどその効果が小さいのです。そこで登場したのが、すまい給付金制度で、住宅ローン減税の拡充による負担軽減効果が不十分な収入層に対して、住宅ローン減税とあわせて消費税率引き上げによる負担の軽減を図るもので、収入によって給付額が変わる仕組みになっています。
◎すまい給付金の対象者
すまい給付金は、住宅を購入し、登記上の持ち分を保有して、その住宅に自分が住まうことが前提であり、収入が一定以下の方が対象となります。また、住宅ローンを利用しないで住宅を取得する現金取得者の方については、50歳以上であることが条件となります。
・対象者の主な要件
住宅の所有者の要件としては、不動産登記上の持分保有者であることですが、単に所有しているのではなく、所有した住宅の移住者であることなのです。つまり、住民票において取得した住宅への居住が確認できなければいけないということになります。
収入面においては、消費税が8%の時は、収入額の目安が510万円以下、消費税が10%の時は、収入額の目安が775万円以下でなければならず、住宅ローンを利用しないときは、年齢が50歳以上でなければいけません。
◎すまい給付金の対象となる住宅の要件
すまい給付金は、良質な住宅ストックの形成を促す目的もあるため、住宅の質に関する一定の要件を満たした住宅が対象となります。
中古住宅については、宅地建物取引業者(不動産会社など)による売買物件で、消費税の課税対象となる住宅が対象となり、個人間売買(不動産会社などは仲介のみ)の中古物件は、消費税が非課税となっていますので対象とはなりません。
・対象物件の主な要件
対象となる物件ですが、引上げ後の消費税率(現行は8%、令和元年10月1日より10%)が適用されることが必須の条件で、これに付随して床面積が50㎡以上であること、第三者機関の検査を受けた住宅であることです。
◎すまい給付金制度の実施期間
すまい給付金制度は、消費税率の引上げられる平成26年4月以降に引き渡された住宅から、税制面での特例が措置される令和3年12月までに引き渡され入居が完了した住宅を対象に実施されます。
◎すまい給付金の申請方法
すまい給付金の申請は、住宅取得者(持分保有者)がそれぞれ行います。たとえば、1つの住宅に居住する不動産登記上の持分保有者が複数名(親子・夫婦など)いる場合は、それぞれ申請することになります。
また、取得した住宅に居住した後に、給付申請書に必要書類を添付して申請することが必要となります。申請は全国に設置するすまい給付金申請窓口への持参またはすまい給付金事務局への郵送により行うことができます。
◎給付額について
給付額は、住まいを購入した人の収入及び不動産登記上の持分割合により決まります。具体的には、持分保有者1名の場合の給付額を給付の基礎額とし、収入に応じて決まる給付基礎額に持分割合を乗じた額が給付額となります。
収入についてですが、給与所得者(サラリーマンなど)の給与明細書などに記載されている「額面収入」ではなく、都道府県民税の所得割額に基づいて決められますので、給付申請をするときは、必ず引っ越し前の住宅の所在する市区町村発行の個人住民税の課税証明書(以下「課税証明書」といいます。)を入手して、都道府県民税の所得を確認してください。
次回は、収入や給付要件についてお話しします。