一人想うこと :  想うままに… 気ままに… 日々徒然に…

『もう一人の自分』という小説を“けん あうる”のペンネームで出版しました。ぜひ読んでみてください。

奥様 vs カラス

2005-10-22 21:46:36 | 日記・エッセイ・コラム
 最近のご主人様は朝が早い。
午前6時には家を出る。
 いつものように奥様と僕はご主人様を見送ると、奥様はゴミを出した。
そして時間があるのか、玄関前を竹ぼうきで掃いていた。
するとゴミステーションの方から、ゴソゴソと音がする。
「何だろう?」と思って見てみると、カラスがゴミをあさっていた。
「コラッ!」
と奥様が怒ると、カラスは隣のFさん宅の塀の上に飛び上がった。
そして、「カッカッカッカー」とバカにしたように鳴いている。
奥様は無視して掃き掃除をしている。
するとまたもやカラスはゴミをあさりだした。
「コラッ、だめでしょう!!」
奥様は向き直って怒った。
カラスはまたFさん宅の塀に飛び上がった。
奥様もまた掃除をはじめた。
するといきなり奥様の頭の上すれすれを黒い影が飛び去った。
そして向かいのHさん宅の門の上に伸びている松の木にとまった。
あのカラスだった。
「カッカッカッカー」とまたバカにしたように鳴いている。
この挑発とも言っていい行為は、完全に奥様を怒らせてしまった。
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奥様は右手に竹ぼうきを持ち、仁王立ちしてカラスを睨みつけると、薙刀よろしく竹ぼうきを振り回し、カラスに向かって行った。
しかし、カラスはヒラリヒラリとほうきの先をかわし、奥様の頭上から飛び去ろうとしない。
それどころか奥様を見下ろして、「カッカッカッカー」とバカにして鳴いている。
どうにもならない奥様の頭にあることがひらめいた。
「そうだ、カラスは飛道具に弱い」
奥様は竹ぼうきをライフル銃のように構え、狙いを定めると、「パーン!!」と叫んだのだ。
さすがにカラスはびっくりしたらしい。
「バサバサッ」と羽音をたてて飛び上がると奥様を一瞥し、そのまま飛び去って行った。
奥様は、「ざまーみろ」というように両手を腰に当て、逃げ去るカラスを見ていた。
しかし、この時僕にはカラスの捨て台詞が聞こえたような気がした。
「おぼえてろー、くそばばー!!」

 奥様とカラスの戦いを近所の人が見ていたら、いったいどう思ったろう。
絶対に腹を抱えて笑っていたに違いない。
僕もおかしくて仕方なかった。


コメント
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