今日のご主人様はお休みのようだ。
何もする事がないのか、昼前にやっと起きてきた。
僕がストーブの前でゴロゴロしていると、ベランダの窓を開け、ほやほやぶどうを摘んで食べている。
甘くて美味しそうだ。
そのうち裏庭に出て行った。
僕も暇なのでついて行った。
庭に出ると風がないせいか、昔なつかしい匂いがしてきた。
そう、屋根の煙突から出る煙の匂いだ。
ご近所でもいまだに石炭や練炭、それに薪を焚いている家がある。
向かいの古民家に住むHさんと、その隣に住むSさんだ。
ご主人様は、「なつかしいなあ」と思い、玄関先に周った。
あらためて向かいの家を見ると、両家の庭は同じようにすごかった。
木の枝が伸び放題に伸びている。
特にSさん宅は圧巻だ。そのうち家が見えなくなってしまうんではないかと思うほどだ。
そこに町内会の人が広報誌を持ってやって来た。
「お疲れ様です」と言うと、町内会の人はSさん宅に向かった。
すると、門の前で立ち止まり、中を覗き込んでいる。
そして一度首をかしげると、そのまま通り過ぎてしまった。
「あれっ?」と思ったが、ご主人様には何となく理由がわかっていた。
そこへSさんが家から出てきた。
「こんにちは」とご主人様は声をかけた。
「Sさん、そろそろ枝を切った方がいいんじゃないですか?」
と言うと、Sさんは不思議そうな顔をして言った。
「どこの家も皆道路に枝は出ているよ」
「いやいや道路に出ている枝ではなく、門から玄関までの木の枝ですよ。
あれじゃあ腰をかがめないと通れないよ。
それにさっきも町内会の人が来たけど、覗いただけでそのまま通り過ぎちゃった」
ご主人様がそう言うと、Sさんは何となくわかったようだ。
「空家だと思ったのかなあ」
そう言うと、Sさんなりの持論が出てきた。
「でもね、Yさん、あれはあれで通る時に雨が当たらなくて、なかなかいいんですよ。
それにですね、京都議定書の主旨にのっとり、二酸化炭素を減らし、地球温暖化防止のために・・・・」
としばらく延々と続き、最後に、
「ですから、隣のHさんとも相談しまして、せめて二人でできることと言えば緑を増やすこと。
そのためには庭の草木を切らず、伸び放題に伸ばしましょう。
と言うことになったのですよ」
最後まで聞いていたご主人様は納得した。
納得したと言っても、別に地球温暖化防止策に納得したわけではない。
SさんとHさん。この二人の性格にあらためて納得したのである。
「早い話が草刈や枝払いが面倒くさいだけだろう」
そう思ってブッと笑ってしまった。
この通りには二人のユニークさは必要だ。
少なくともご主人様はそう思っている。
なんだかほんわかと潤滑油の役目をしているのだ。
ご主人様は思っていた。
二人の地球温暖化防止策。
陰ながら応援してます・・・?
何もする事がないのか、昼前にやっと起きてきた。
僕がストーブの前でゴロゴロしていると、ベランダの窓を開け、ほやほやぶどうを摘んで食べている。
甘くて美味しそうだ。
そのうち裏庭に出て行った。
僕も暇なのでついて行った。
庭に出ると風がないせいか、昔なつかしい匂いがしてきた。
そう、屋根の煙突から出る煙の匂いだ。
ご近所でもいまだに石炭や練炭、それに薪を焚いている家がある。
向かいの古民家に住むHさんと、その隣に住むSさんだ。
ご主人様は、「なつかしいなあ」と思い、玄関先に周った。
あらためて向かいの家を見ると、両家の庭は同じようにすごかった。
木の枝が伸び放題に伸びている。
特にSさん宅は圧巻だ。そのうち家が見えなくなってしまうんではないかと思うほどだ。
そこに町内会の人が広報誌を持ってやって来た。
「お疲れ様です」と言うと、町内会の人はSさん宅に向かった。
すると、門の前で立ち止まり、中を覗き込んでいる。
そして一度首をかしげると、そのまま通り過ぎてしまった。
「あれっ?」と思ったが、ご主人様には何となく理由がわかっていた。
そこへSさんが家から出てきた。
「こんにちは」とご主人様は声をかけた。
「Sさん、そろそろ枝を切った方がいいんじゃないですか?」
と言うと、Sさんは不思議そうな顔をして言った。
「どこの家も皆道路に枝は出ているよ」
「いやいや道路に出ている枝ではなく、門から玄関までの木の枝ですよ。
あれじゃあ腰をかがめないと通れないよ。
それにさっきも町内会の人が来たけど、覗いただけでそのまま通り過ぎちゃった」
ご主人様がそう言うと、Sさんは何となくわかったようだ。
「空家だと思ったのかなあ」
そう言うと、Sさんなりの持論が出てきた。
「でもね、Yさん、あれはあれで通る時に雨が当たらなくて、なかなかいいんですよ。
それにですね、京都議定書の主旨にのっとり、二酸化炭素を減らし、地球温暖化防止のために・・・・」
としばらく延々と続き、最後に、
「ですから、隣のHさんとも相談しまして、せめて二人でできることと言えば緑を増やすこと。
そのためには庭の草木を切らず、伸び放題に伸ばしましょう。
と言うことになったのですよ」
最後まで聞いていたご主人様は納得した。
納得したと言っても、別に地球温暖化防止策に納得したわけではない。
SさんとHさん。この二人の性格にあらためて納得したのである。
「早い話が草刈や枝払いが面倒くさいだけだろう」
そう思ってブッと笑ってしまった。
この通りには二人のユニークさは必要だ。
少なくともご主人様はそう思っている。
なんだかほんわかと潤滑油の役目をしているのだ。
ご主人様は思っていた。
二人の地球温暖化防止策。
陰ながら応援してます・・・?