先日、九州芸文館で開催された福岡県立美術館コレクション展を観てきました。美術展は特定の切り口やテーマで企画されることがありますが、今回は「美術×音楽」と銘打たれていました。
本展は美術と音楽が交差する絵画や彫刻、工芸作品など30点ほどが展示された、小規模な展覧会です。作品名に「音」が関係したり、音楽をイメージする作品や音楽家の写真などがありました。
展覧会は正直なところ雑多な印象で、私にはもう一つよく理解出来ませんでした。ただ思いがけず、詩人の故丸山豊さんの温顔の写真があったことが収穫でした。丸山さんは久留米で医院を開業していましたが、現代詩の代表的な詩人の一人でもあります。詩を好きな方なら、彼が主宰していた詩誌「母音」に参加していた詩人達の名前を聞いたことがあると思います。
それはさておき、写真を見て昔のことを思い出しました。丸山医院は私の家から近く、小学生の頃はかかりつけ医としてお世話になりました。洋風の小さな木造の建物で、置かれている医療機器など、子ども心にも非日常的な雰囲気を感じたものです。
丸山先生は温厚な方で、いつも笑みを浮かべていたような気がします。往診の時は当時流行っていたスクーターの後ろに看護婦を乗せ、気軽に私の家まで来られました。私は決して病弱ではなかったのですが、先生の往診と医院での様子があれこれと記憶に残っています。
あれは何歳の時でしたか、風邪か何かで私が臥せっていると、先生が往診に来られました。いざ注射を打つ段になると私は怖がって暴れ、終いには母親と看護婦に押さえつけられて、足首辺りに注射されたことを覚えています。
中学校に上がってからは縁が遠くなりました。社会人になって久し振りに受診した時、先生は私を覚えておられ、お母さんは元気ねと声をかけられました。その頃は詩人としての先生を知っていましたから、少し嬉しかったですね。
丸山先生の写真がどうしてこの展覧会に、と考え込みました。思い当たるのは、先生が多くの学校の校歌を作詞していることです。50校にもなるでしょうか。先生は歌詞もつくっています。音楽関係の方は合唱組曲「筑後川」の作詞者としてご存知かもしれません。
長々と思い出話になりました。この日、会場にいたあいだ観覧者は私達だけでした。九州芸文館は開館してまだ3年余り。美術館や博物館とは違いますが、頑張ってもらいたいものです。
館内にはこんなものが展示されていました。1952年頃のメルセデスベンツです。ナンバープレートが付いていたので現役でしょうか。
今では珍しいクラシックカー!
現役なんて手入れが凄いことでしょう・・・
観覧者が御二人だけ?もったいない空間ですね?
会場に誰もいないというのは、係員に監視されているようで落ち着きません。