育つ場所は海に突き出た石組みの間。
僅かばかりの砂地に根を下ろして光を求めて伸び上がる。
最悪の環境だけれど今年も幾つか花をつけている。
草むらだと種子が零れて何カ所かに…とも思うのだけれど
これ以上の広がりは望めない。
▲ 可愛い花、だけれど花びらは無い。花弁と萼片に当たるものが交互に3枚、花被片と呼んでいる。▼
▲ 目立つのは花被片、全開しないからよく見えないけれどおしべ、めしべは備わっている。▼
▲ 茎の四稜全てに下向きの鋭い刺、刺が無ければ、ミゾソバの花。
おしべの花糸は半透明、葯は薄桃色で10本程度、めしべの柱頭も半透明、三裂する。▼
(2021.05.06 林崎松江海岸)
☆
毎年ここでしか見ないから、ここで撮る。
広がることの出来ない場所、年に一度しか撮れないから何枚も撮る。
▲ 花は桃色だから目立つ。それ以上に刺だらけの茎が目立つ。▼
▲ めしべは3裂、と思い込んでいるのだけれどこの個体のめしべは4裂。▼
▲ おしべの葯は薄桃色だけれど、花粉は白。▼
▲ 蕾(3)と開花(2)、開花後(3)の三つの状態が同居する。
蕾と開花後の姿はソックリに見えるけれど、少し膨らんでいるのが開花後。▼
▲ 花被の先端が茶色くなっているものは果実を包み込んでいる。
やがて裂けて黒い果実が現れる。イシミカワに似た構造。▼
▲ 長く伸びた花軸の下部には時に刺があるけれど、上部は腺毛がビッシリと生えている。▼
▲ 茎にある下向きの刺は、上下左右の蔓を伸ばし刺を引っ掛けながら広がってゆく。▼
▲ 茎、葉柄、葉裏の主脈上にも刺。
葉柄基部には円形の托葉があり、そこから伸びる花茎、葉柄にも刺。▼
ママコノシリヌグイ(継子の尻拭い) タデ科イヌタデ属 Persicaria senticosa
(2021.05.14 林崎松江海岸)
☆
▲ (再掲) 果実を包んでいた花被(果皮)が破れ、中から種子が出てくる。▲
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今年の浜辺 新林 木場 光則寺 小石川
ママコノシリヌグイがなんと素敵なことでしょう。
見入ってしまいました。
色々見させていただきながらあまりに知らないことばかりで・・・
あらためてノートにたくさん書いて憶えております。
蕾と、開花するものと、開花後のものが同居しているなんて・・・
こいもは観察力が欠けていますよね。
おしべもめしべも綺麗に撮れて、はっきりと数までもがわかりました。
長く伸びた花軸の下部には時に刺があるけれど、
上部は腺毛がビッシリと生えている、、、すごいです。
そしてこの刺には蔓を伸ばし広がってゆくための大切な役割があったのですね。
とっても美しい画像でいろ~んなことが学習できました。
ありがとうございました。
強い刺のある茎や三角の葉に気を取られがちですが
私が撮ることの出来る場所は殆ど何も育たない上に、岩の間なので
真上から覗き込まないといけない場所です。
ですので、少し伸び上がってきた花穂はすぐ横にあるので見ていると
幾つもの細かな部分が見えてくるのでやはり撮りやすいです。
どのような被写体でも、撮りやすい場所にあればジックリ座り込んで少しずつ…。