シャープは25日、09年に携帯電話端末事業で欧米市場に本格参入する方針を明らかにした。
携帯事業では、パナソニックモバイルが2010年度にも中国・アジア市場への端末投入を目指し、京セラが今春から北米市場を強化するなど国内端末メーカーの海外志向が強まっている。
シャープは6月から、日本で普及している高機能端末と同型機種を中国に投入しており、欧米市場では現地の趣向に合わせた独自端末の開発を視野に入れ、遅くとも来年夏までには打って出たいという。
●海外展開 不可避
シャープの携帯電話端末は昨年度まで国内首位を維持しており、年間1500万台の生産台数のうち、9割以上を国内に出荷しているが、国内市場は、新料金体系の導入で買い替えが進まなかったことなどから縮小している。
一方、世界市場では、国内メーカー各社を合わせてもシェアは5%以下で、同社は「事業拡大のためには海外展開は避けられない」と判断し、まず中国市場に端末を投入した。
同社は現在、欧州市場では英ボーダフォンに納入するとともに、米国市場に携帯情報端末「スマートフォン」を投入しているが、いずれも販売規模は限定的だった。
●独自端末開発も視野
今後、ボーダフォンを通じて欧州市場の販売規模を拡大した上で、販売網を開拓しながら、米国市場にシャープ製の端末を投入する。
また、「AQUOSケータイ」と同型の端末に人気の集まる中国やアジア市場と違い、欧米では強みのある端末を投入しないと勝負にならないことから、現地の趣向に合わせた独自端末の開発も視野に入れる。
一方で、中国・アジア市場で液晶テレビで培った知名度が販売拡大につながっていることから、欧米市場で液晶テレビやブルーレイ・ディスクレコーダーの販売面で攻勢をかけ、ブランド力の強化を図る。
携帯電話端末事業をめぐっては、パナソニックモバイルが2010年度にも中国・アジア市場に進出する姿勢を鮮明にしており、京セラは三洋電機の事業を買収して北米市場戦略を強化した。
一方、三洋電機や三菱電機は売却・撤退しており、国内の携帯端末メーカーは海外に活路を求めるか、撤退かの判断を明確にしつつある。
【記事引用】 「ITmedia+D mobile/2008年8月27日(水) 」