世界の携帯電話機市場の拡大ペースが再加速している。
今年上半期(1-6月)の携帯電話の出荷台数は5億9760万台で、前年同期比の伸び率は15%増。昨年上半期の13%増を上回った。
携帯電話の世界市場の伸びは、2004年の前年比37%増をピークに鈍化していたが、新興国での販売台数の急増が市場拡大に再び弾みをつけている。
●新興国での販売急増
昨年の世界販売台数は11億4410万台と過去最高を更新したものの、伸び率は04年の30%台から05、06年は20%台に低下し、昨年は過去5年間で最低の12%まで落ち込んでいた。
先進国での携帯電話の普及率が100%に近づいてきたことに加え、世界的な景気鈍化の影響を受けた。
今年はさらに伸び率が鈍化するとの見方が多く、ノキアなどは年初に同10%程度の伸びを予想していたが、携帯電話大手の販売の4-5割を占める新興国での販売台数が急増。
インドのほか、中国や中東諸国、アフリカなどで所得水準の上昇に伴って、携帯電話を初めて買い求める顧客が急速に増加している。
特に低価格機に強いノキアのほか、サムスン電子やLG電子の韓国勢が販売を伸ばした。
●モトローラ3位転落
今年上半期のメーカー別出荷台数では、最大手のノキアが前年同期比24%増の2億3750万台で、世界シェアを3ポイント増の40%に伸ばした。
伸びが最も大きかったのは世界4位のLG電子で、同49%増の5210万台に達した。一方、昨年上半期まで2位だった米モトローラは大きく販売台数を落とし、サムスン電子に抜かれ3位に転落した。
08年通年の世界販売台数は、前年比14%増の13億台に達する見込み。人口が多く普及率がまだ3割前後とみられるインドや中国などで、販売の急速な伸びは続いている。
中国市場は五輪後に需要が一服する可能性があるが、世界全体では昨年を上回る伸び率になるとの見方が多い。
●冷え込む国内需要
世界の携帯電話市場が拡大しているのと対照的に、日本の携帯出荷には急ブレーキがかかっている。
今年1-6月の携帯・PHSの出荷台数は、前年同期比4.2%減。市場の飽和感や、端末価格を上げて通信料金を下げる新料金体系の導入の影響で、国内需要が冷え込んでいる。
08年通年の出荷は、4年ぶりに前年割れとなる公算が大きい。
【記事引用】 「日本経済新聞/2008年8月23日(土)/1面」