携帯電話業界ブログ

── ケータイ業界関連の記事集.

NEC、カシオ・日立と携帯電話事業統合 海外市場へ再挑戦

2009-09-15 | 端末メーカー/日本



 NECは14日、カシオ計算機、日立製作所と携帯電話機事業を2010年4月に統合すると発表した。

 3社合計の国内シェアは、08年度で19.3%と首位のシャープに次ぐ勢力となる。ただ、NECの真の狙いは、一度は完全撤退した海外にある。

 次世代携帯電話(LTE)に切り替わろうとするなか、3社の開発力、販売力を融合し、「最後の挑戦」に乗り出す。


●統合で国内外1200万台

 「統合により12年度に国内700万台、海外500万台の計1200万台を目指す」。

 14日、会見したNECの大武章人専務は力を込めた。国内の目標は08年度の3社合計と同水準だが、海外は「現在の2~3倍に当たる」(大武専務)規模になる。

 NECでは、09年度の国内市場は約3000万台と07年度比で約4割減るとみている。10年度以降も、3000万台前後で推移すると予測する。

 一方、世界市場は現在の約12億台から、15億台にまで拡大すると見込む。特に、「日本が得意とする(高機能型の)第3世代携帯と次世代のLTEが伸びる」とソロバンをはじく。


●来年4月に新会社設立

 NEC、カシオ、日立の3社は、来年4月に共同出資会社「NECカシオ・モバイルコミュニケーションズ」を設立する。

 まず、NECが携帯電話機事業を分社化し、その後、カシオと日立が共同で設立している携帯電話の開発会社を吸収合併する形をとる。

 将来的には、カシオと日立の生産部門も統合する。

 新会社の資本金は50億円で、最終的な出資比率はNEC70.74%、カシオ20%、日立9.26%を予定している。社長はNECが出し、従業員数は約1300人となる見込み。


●カシオの販売ルートの魅力

 事業統合にあたり、「NECが本当に欲しかったのは、カシオが持つ米携帯最大手のベライゾンワイヤレス向けの販売ルートだった」と関係者は明かす。

 カシオは現在、ベライゾン向けに「G’z one」というブランド名で、防水性・耐久性に優れた携帯電話機を年間100万台以上供給している。

 NECは、かつては中国や欧州で携帯電話機事業を展開していたが、06年度に完全撤退している。

 10年以降に北米で本格的にサービスが始まるLTEで、海外事業の巻き返しを図るうえでも、カシオの持つパイプは魅力的。このため、NECはカシオに配慮しつつ、慎重に交渉を進めた。

 「NECは、最初から新会社の名前に『カシオ』と入れたがっていた」(関係者)という。


●営業本格化

 NECにとって、携帯電話事業は生命線。通信とITを事業の2本柱とする同社だが、IT事業はライバルのIBMや富士通と比べて、大きく売り上げ規模などの差が開いている。

 最後の砦は、通信機器事業というのが実情となっている。

 10年にも始まるLTEでは、携帯電話機だけではなく、携帯電話用基地局などのインフラも海外市場の開拓が最重要課題となっている。

 海外携帯電話会社へ向けて、今後営業を本格化する考え。


●勝負どころのNEC

 ノキア・シーメンスなど海外の大手通信機器メーカーは、携帯電話の基地局などのインフラ構築から保守・運用、携帯端末の供給まで一質して手がけるサービスを世界中の通信会社に向け展開している。

 NECも技術はあるが、海外での販売ルートが弱く、実現できていない。

 携帯端末事業を海外展開できるのは、LTE商戦が始まる今回が最後のチャンスともいえる。過去の失敗の歴史を塗り替えることができるか、NECにとって勝負所となる。 





【記事引用】 「日経産業新聞/2009年9月15日(火)/28面


最新の画像もっと見る