携帯電話業界ブログ

── ケータイ業界関連の記事集.

香港携帯電話大手スマートーン、利用料金の定額制を廃止 政府の規制後押し 各社へ拡大へ

2012-02-06 | 携帯事業者/世界



 香港で携帯電話のデータ通信料金が使用量に応じた「従量制」が広がりそうだ。

 大手携帯電話事業者の数碼通(スマートーン)が13日の新規契約分から、一定額を払えば無制限に使える「定額制」を廃止すると決定。香港政府は定額制の規制を強化しており、他の大手も追随する可能性が高い。

 スマートフォンの急速な普及がもたらした料金体系の変更は、日本の携帯各社にも影響を与えそう。

●課金の公平性

 数碼通は2日の記者会見で、13日以降に受け付ける契約から従量制に一本化すると発表した。それ以前に契約した定額制サービスに変更はない。背景にはデータ通信量の急増がある。

 米アップルのiPhoneと米グーグルの基本ソフト「アンドロイド」搭載スマートフォンの利用者は、平均データ便用量の高さが目立つ。スマートフォンは全契約数の66%で、2年で7倍に拡大した。

 端末とセットの一般的なプランで現在の定額制では、月398香港ドル(約4千円)。従量制では月2ギガバイトが上限となる。これを超えると40香港ドルで200メガバイトなど追加料金が発生する。

 月2ギガバイト超のヘビーユーザーには値上げとなるが、使用量2ギガバイト以下の利用者が全体の85%を占めており、同社の黎大鈞総裁は「大部分の利用者はハッピーだ」と話す。

 ほかに新たに138香港ドルで月150メガバイトと、248香港ドルで同400メガバイトのプランも追加する。同社が定額制廃止で強調するのは、課金の公平性。一部のヘビーユーザーを他者が補助している状態を解消するという論理。


●香港政府の規制

 香港政府の規制も同社の背中を押した。

 香港電訊管理局(OFTA)が昨年11月に公表した通信網の「公平使用政策」に関するガイドラインで、今月13日以降は定額制で「無制限」をうたい文句にした場合、一切の通信制限を禁じられる。

 定額制の継続には「本当に無制限のサービスを提供できる十分な通信容量を用意しなければならない」(OFTA報道官)。

 通信各社はへビーユーザーを制限できなくなり、通信障害を引き起こしかねない。携帯大手のCRLはOFTAの規制強化に「無制限利用サービスプランを見直しており、13日までに発表したい」とコメントとするなど、他社も数碼通の動きに追随する公算が大きい。

 日本の携帯各社も同様の問題を抱える。KDDIの田中孝司社長は昨年11月、香港での携帯電話の国際会議で「スマートフォンのデータ利用量は従来の携帯電話の10倍だが、収入は30%しか増えず、設備投資をカバーするのが難しい」と述べた。

 先行する米国では、AT&Tやベライゾン・ワイヤレスなどが定額制を廃し、従量制に切り替えている。




【記事引用】 「日本経済新聞/2012年2月6日(月)/13面」


最新の画像もっと見る