香港の大型複合企業、ハチソン・ワンボア(和記黄埔)は3日、オーストリアの携帯電話事業者オレンジ・オーストリアを買収すると発表した。
投資会社のミッド・ヨーロッパ・パートナーズ(MEP)と仏通信大手フランステレコムが保有する全株式の買い取りで合意した。ハチソンは通信をはじめ欧州で各種インフラ事業を手掛けるが、新たな買収を通じさらに事業基盤を強化する。
●12年半ばに手続き完了
ハチソン傘下の通信事業者ハチソン3G(H3G)オーストリアが買収で合意した。
オレンジの事業価値は約13億ユーロ(約1300億円)だが、買収直後にオレンジの持つ基地局や知的財産権の一部、低価格の携帯通信サービス会社イエス!テレコミュニケーションなど3億9千万ユーロ分の資産をテレコムオーストリアグループに売却する。
これとは別に、買収後の業績などに応じ、MEPに対し2年後に最大7千万ユーロを支払うことでも合意。買収は当局の承認を前提に2012年半ばには手続きを完了する見込み。
H3Gは同国の携帯電話市場で4社中4位。3位のオレンジ買収で同国でのシェアは約22%となり、11年の推定売上高は計7億ユーロを超える。
同国は欧州で最も携帯電話の競争が激しい市場の一つで、買収してA1やTモバイルを追撃する。
【記事引用】 「日経産業新聞/2012年2月6日(月)/13面」