携帯電話業界ブログ

── ケータイ業界関連の記事集.

NTTドコモ、インドでシェア拡大狙う 国内ノウハウ生かし、中間・富裕層を開拓

2010-06-08 | 市場動向/中国・インド



 NTTドコモは、携帯大手タタ・テレサービシズ(TTSL)に26%を出資し、「タタドコモ」のブランドでインドで携帯電話事業を手掛ける。

 拡大するインドの携帯市場で日本でのノウハウを生かしシェア拡大を狙う。

 今年からデータ通信が可能な第3世代携帯電話サービスも始まる。ドコモの山本睦男・国際事業部キャリア担当部長に攻略のポイントを聞いた。


――市場の状況は。

 インドの携帯電話は、契約数が月1500万件の勢いで伸びている。

 ピークの2~3月には、月約2000万件の契約があった。日本の年200万~300万件の伸びと比較すると、日本の年間の伸ぴを1~2週間で達成してしまう。爆発的に拡大する世界有数の市場だ。

 とはいえ、約15社がひしめき競争は厳しい。

 最大手のバルティ・エアテル、リライアンス・コミュニケーションズ、ボ-ダフォンなどに続き、TTSLはシェアで5番手。2009年にリライアンスが値下げし、一気に料金競争に火が付いた。

  ノキアなどの汎用端末に通信各社の認識カードを入れ替えて使うプリペイド方式が主流。

 音声電話とショートメールサービスが大半を占める市場で、1契約当たり月間平均収入(ARPU)は約2ドルと非常に少ない。だが、低価格化は徐々に底を打つだろう。


――TTSLの強みをどう生かすのか。

 ドコモが日本国内で培ったサービスやブランド戦略を活用していく。

 タタドコモのブランドで、国内で使用したロゴを生かした広告を使っているほかスポーツ、占い、「ドコミックス」というマンガなどのコンテンツを配信している。

 今後利用者層も広がるにつれ、天気予報などコンテンツを拡充していきたい。


――これまで海外の大型投資で失敗続きだった。過去との違いは何か。

 事業支援の質と量だ。

 北米などこれまでの投資は世界標準を取るという考えが強く、経営への関与も少なかった。TTSLは出資して終わりではなくドコモとして協力を続けていく。

 役員を3人送り込むとともに、事業・技術協力委員会を通じてドコモのノウハウをどう生かせるのかを常に検討している。

 秒単位の課金をいち早く取り入れたことで、TTSLは09年8月から6力月連続で純増首位となるなど、非常にいい滑り出しを見せた。


――第3世代の携帯電話サービスが始まる。

 インドを22のブロックに分け、ブロックごとに第3世代の電波を割り当てるオークションが5月に完了した。

 ムンバイやニューデリーなどの都市部は入札額も高騰したため獲得できなかったが、マハラシュトラなど中部エリアを中心に9ブロックで取得した。

 現在TTSLが持つ第2世代の基地局は2万-3万局。1-2年以内に1万-2万局で第3世代に対応した設備を導入する必要がある。


――今後の焦点は。

 第3世代サービスが本格化するにつれ、競争が激化する。

 投資ではチキンレースの様相も呈しており、利益を出しつつ拡大できるよう慎重に判断したい。企業数は依然多く、業界再編も必ず起こるだろう。

 TTSLは中・低所得間層を中心に販売してきた。3~4千円の端末を購入する中間層や富裕層の需要も拡大しており、開拓していきたい。

 スマートフォンも2~3年以内には需要が出てくるだろう。携帯電話で使えるコンテンツサービスでデータ量ごとの課金の仕組みづくりも必要だ。

 11億人の市場で携帯電話の所有者は、約5億人。まだまだ伸びしろはある。





【記事引用】 「日経産業新聞/2010年6月1日(火)/10面」


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