中国のスマートフォン市場で新興メーカーが存在感を高めている。
魅族科技(メイズ、広東省)は「クアッドコア」と呼ばれる新型半導体を中国メーカーで初めて搭載した高速処理対応スマートフォンを投入。広東欧珀移動通信(オッポ、同)は「世界最薄」をうたうスマホを発売した。
最先端技術やデザイン性を前面に打ち出してブランドカを高め、日本を含む海外市場開拓も狙う。
●海外進出に意欲
魅族は6月末にクアッドコアCPU(中央演算処理装置)を搭載した「MX四核」を発売した。価格は記憶容量32Gバイトの機種で2999元(約3万7000円)とした。処理速度が速くなり、動画や3Dのゲームにも対応できる。
クアッドコアは世界のスマートフォン大手が今年の目玉とする新技術。今春、台湾の宏達国際電子(HTC)が世界で初めて発売し、韓国サムスン電子が続いた。
中国勢では大手の華為技術(ファーウェイ、広東省)と中興通訊(ZTE、同)が投入を発表しているが、実際の販売は魅族が先行した。今夏発売をめざす富士通など日本勢にも先駆けた。
2003年設立の魅族は、携帯音楽プレーヤーの製造からスマートフォンに進出した。
今年1-3月の中国スマートフォン市場でのシェアは0.03%(易観国際調べ)にとどまるが、高性能の部品使用やデザインの良さで若者中心に特定の顧客を獲得。
クアッドコア型の新製品もサムスンのCPUとシャープの液晶など先進国メーカー製の中核部品を使う。
魅族は、日本も含んだ先進国など海外市場への進出に意欲を見せる。中国紙によると、13年にも米国と欧州でマーケティング活動に乗り出すという。
●世界最薄スマホ
一方、欧珀はこのほど厚さ6.65mの薄型スマホ「Finder(ファインダー)」(2498元)を発売した。
1月の米国での家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」では華為技術が世界最薄という6.68mmの製品を発表して話題になったが、欧珀の新製品はこれを上回る薄さ。
03年設立の欧珀も携帯音楽プレーヤーから携帯電話に進出し、多機能携帯端末(タブレット)も製造する。
同社も米クアルコム製CPUなど高性能の部品を使い、デザイン性も重視。CMに米国の俳優のレオナルド・デイカプリオさんら有名スターを起用し、ブランドの向上に懸命。
中国の新興メーカーは両社と北京小米科技(シャオミー、北京市)、字竜計算機通信科技(クールパッド、広東省)の4社が広く知られる。日本のメーカーが電機大手に限られるのに対して、携帯電話市場の拡大が続く中国は新興企業の参入が相次いでいる。
【記事引用】 「日経産業新聞/2012年7月10日(火)/3面」