中国携帯電話最大手の中国移動通信集団(チャイナモバイル)は、年後半に北京など3都市で次世代携帯電話サービス「LTE」の大規模実験を始める。
3日に上海で開幕した通信業界の国際会議で明らかにした。チャイナモバイルは5月から始まった上海万博会場でデータ通信の実証試験も展開。
LTE商用化で先行できれば、インフラビジネスの海外展開も有利に進めることができるため、メーカー各社とともに開発を加速する。
●LTEの準備加速
チャイナモバイルの王建宙董事長は3日、次世代の携帯電話の技術開発を進めるための国際的な業界組織「ネクスト・ジェネレーション・モバイル・ネットワークス」の会議で、「LTEの商用化に向けて準備を加速する」と表明した。
具体的には年後半から全国3都市で大規模な実証試験を始める。北京のほか、上海、南京(江蘇省)、西安(陳西省)、成都(四川省)、アモイ(福建省)、深川(広東省)が候補に挙がっている。
基地局を100カ所以上設置し、通信状態などをチェックする。インフラを供給するのは、中国の華為技術(ファーウエイ)、中興通訳、大唐移動のほか、欧米のモトローラ、エリクソン、ノキア・シーメンス・ネットワークス、アルカテル・ルーセント。
チップは米クアルコム、韓国・サムスン電子、中国の北京創毅視訊科技など。
日本勢はテスト機器でアンリツが参加する。LTEは第3世代(3G)携帯電話サービスを高度化した規格で、第3.9世代(3.9G)携帯電話とも呼ばれる。
「ロング・ターム・エボリューション」の略で、データ通信速度は最大毎秒100Mビットで、光ファイバー通信並みという。
チャイナモバイルが採用するのは同社が提唱する「TD-LTE」方式。1つの周波数帯で送信ど受信を高速で切り替えて双方向通信を実現する。
NTTドコモやKDDIが採用し、送信と受信で異なる周波数帯を使う「FDD-LTE」に比べて効率的に電波を使うことができるが、技術的には難しいとされる。
【記事引用】 「日経産業新聞/2010年6月4日(金)/3面」