携帯電話業界ブログ

── ケータイ業界関連の記事集.

携帯電話の新時代到来、LTEが世界の通信を牽引 通信規格の世界標準目指す

2010-12-26 | LTE/4G/XGP



 携帯電話の新しい通信規格「LTE(ロング・ターム・エボリューション)」を使ったサービスが日本で始まる。

 今月24日にサービスを開始するNTTドコモに続き、 KDDI、ソフトバンクモバイルも LTEの導入を決定。一方、海外でも大手通信事業者が次々に商用化に踏み切る。

 LTEによって何が実現するのか。そして、世界の通信ビジネスの可能性はどのように広がるのだろうか。


●高速通信・低遅延が特徴

 携帯電話の通信規格「LTE」を使ったサービスがいよいよ日本で始まる。現在の3G(第3世代携帯電話)に対し、「3.9G」と呼ばれるLTEの第1の特長は高速性。

 NTTドコモが今月24日から国内でいち早く商用化するLTEサービス「Xi(クロッシィ)」 の通信速度は、最大37.5~75Mビットを見込んでおり、現行の7.2Mビットに比べると約5~10倍に向上する。

 これによってユーザーの利便性はどう向上するか。通信速度が3Gの5~10倍に向上すれば扱えるデータ量は、はるかに大きくなる。

 スマートフォンなどでホームページや動画の閲覧、各種ファイルのダウンロードなど、容量の多いデータ通信が今以上にスムーズにできるようになる。

 高速通信に加え、LTEの特長として低遅延も挙げられる。

 LTEは3Gに比べネットワークの構成がシンプルなため、仕様上はつながるまでの待ち時間が無線アクセスネットワーク内で100ミリ秒以内、パケットが届くまでの遅延が5ミリ秒以内。

 アクセスの遅延が減ることで、例えば株の売買の申し込みや双方向でやり取りするネットワークゲームなど、リアルタイム系のサービスの使い勝手もより良くなるだろう。


●国内初の通信規格統一

 LTEは世界標準の通信規格になり得る可能性という点でも注目。

 ドコモに続き、2012年度以降にはKDDI、ソフトバンクモバイルもLTEの導入を予定している。実現すれば、日本の大手3社が初めて同一の通信規格を採用することになる。

 また、国内だけでなく海外でもLTE導入が進む。

 北欧大手のテリアソネラ、ボーダフォン・ドイツはすでに昨年から商用化。今月5日には米国の通信大手ベライゾン・ワイヤレスがサービスを開始し、まずはニューヨークやサンフランシスコなど主要38都市での展開を目指す。

 米国でベライゾンと業界首位を争うAT&Tも11年にはLTEの商用化に踏み切る予定。通信規格の統一によって、国内はもちろん海外へと市場が広がる。

 LTEは通信事業者だけでなく、端末メーカーなど関連企業にも、新たなビジネスチャンスを提供する。また、LTEは100Mビットという高速通信を目指している。

 これは、現在の光ファイバーを使った通信速度と同等の速さだ。実現すれば携帯電話だけでなく、家庭用パソコンのインターネット回線にLTEを利用するユーザーも増えるに違いない。

 さらにLTEは、ギガビットクラスの通信を可能とする4Gヘの橋渡し的なシステムとして位置づけられており、遠隔医療や教育、電子行政、高度道路交通システム(ITS)などでの利活用も考えられる。

 様々な産業への波及も、LTEが含むキーワードといえるだろう。


●世界標準への可能性

 ドコモの「Xi」は東京・大阪・名古屋の3大都市圏に約1000個の基地局を開設し、サービスをスタート。その後、12年3月までに県庁所在地級の都市、13年3月までには全国の主要都市へとエリアを拡大していく。

 一方、対応端末はまずパソコン用データ通信カードが登場する。通話機能のある一般的な携帯電話端未の発売は来年以降の予定。

 新しい通信方式による基地局や端未の開発には、計測器が不可欠だ。国内外の計測メーカーでは次々とLTE関連の計測器を市場に導入している。

 ここで存在感を増しているのがアンリツ。

 同社はLTEの試験規格策定を主導し、そこで得た技術を製品に展開。初期開発からLTE規格適合試験、製造、そして基地局の建設・保守まで対応した各種計測器をグローバルに販売している。

 世界標準への可能性が期待されるだけに、LTEに関連する全業界の競争もいっそうのグローバル化が予測される。だからこそ、LTEの普及には残された課題以上の期待がある。

 一部では「ガラパゴス」とも椰楡されてきた日本の携帯電話が迎える新時代。来るべき4Gに向かい、今後どのような展開が待っているのか。今後もLTEから目が離せない。




【記事引用】 「日経産業新聞/2010年12月14日(火)/12面」


最新の画像もっと見る