中国でインターネットサービス大手と電機大手が組み、スマートフォンの新製品を投入する動きが相次いでいる。
百度(北京市)は、四川長虹電器(四川省)と提携。奇虎360科技(北京市)は、華為技術(ファーウェイ/広東省)などに自社ソフトを提供する。
低価格の端末や独自のサービスで利用者を呼び込み、韓国サムスン電子など海外勢に対抗する。
●若者らの囲い込み
検索サービスで中国最大手の百度は家電大手の長虹と組み、899元(約1万1千円)の低価格スマートフォンを近く発売する。
文書や画像などのデータをネット上で保管し、他の端末でも利用できるようにするクラウドサービスを容量100Gバイトまで無料で提供。若者らの囲い込みを狙う。
端末はEMS大手の台湾・鴻海精密工業が製造。通信大手のチャイナユニコムの店舗を通じて販売する。
セキュリティーソフトで中国最大手の奇虎は国内外のスマートフォンメーカーに.セキュリティー、閲覧などの自社ソフトを提供する。すでに通信会社向け設備の世界2位で、携帯電話端末の事業拡大を狙う華が奇虎との提携製品投入を表明した。
中国のネット大手では、電子商取引最大手のアリババ集団(浙江省)が北京天宇朗通通信設備(北京市)と組み、2011年に2680元のスマートフォンを発売した。
今年4月には699元の低価格品を投入。500元の商品券や商品検索などの機能を持たせてネット通販サービスに誘導する。
●自社サービスに呼び込み
ネット各社に共通するのは、「低価格の端末販売で利用者を自社のサービスに呼び込む」(調査会社の易観国際の王穎アナリスト)という戦略。
利益は端末の販売ではなく、多くの利用者を呼び込んだあとのネット広告や商品販売会社の出店料から得る考え。マートフォンの国内普及台数が2億台を超え、パソコンに続く主要なネット利用手段となったことに対応する。
易観国際によると、中国の携帯電話市場(11年10-12月)はサムスンが首位。ノキア(フィンランド)が2位につけ、高価格品のiPhoneだけの米アップルも6位に入る海外勢優位の状況。
【記事引用】 「日本経済新聞/2012年5月25日(金)/7面」