パナソニックが2012年度内をめどに、携帯電話など通信・システム関連部門で人員の約1割に当たる1000人規模の削減を検討していることが29日、明らかになった。
携帯電話は国内生産から全面撤退する方針を固めており、人員のスリム化を同時に進め、海外勢との競争に勝ち残れる体制とする。
●海外に全面移管
主な対象は、携帯電話子会社のパナソニックモバイルコミュニケーションズ(横浜市)と、固定電話やファクシミリなどを手掛ける子会社のパナソニックシステムネットワークス(東京・目黒)。
人員は合わせて8000-9000人程度。すでに労使間で協議に入ったもようで、早ければ7月にも希望退職者を募る。希望者は今秋をめどに退職する見通し。
通信・システム関連部門は今後、事業の軸足を海外に移す方針。特に携帯電話では今春から欧州市場に再参入し、世界市場向けの「グローバルモデル」のスマートフォン製品を発売した。
今夏をめどに主力工場である掛川工場(静岡県掛川市)での携帯電話端末の生産を取りやめ、北京やマレーシアなど海外へ全面移管する。
販売をてこ入れするため子会社の代理店、パナソニックテレコム(東京・港)を伊藤忠商事系のアイ・ティー・シーネットワークと合併させることも決めた。
携帯電話や通信システムの分野は海外企業との競争が激しい。パナソニックはスマートフォンの投入で他社に出遅れるなど劣勢に回った。従来の国内依存の体質では事業展開のスピードやコスト競争力で見劣りすると判断、人員規模と配置を適正化する。
パナソニックは、昨年度までにテレビや半導体など不採算部門の事業構造改革を先行した。本社部門の人員も半減させる方向で、業績のV字回復に向け全社規模での取り組みを急ぐ。
【記事引用】 「日本経済新聞/2012年5月30日(水)/9面」