ほんとうにこのまま大統領候補になってしまうのだろうか。
アメリカの共和党の大統領予備選挙、「そのうち消える」と誰もが思っていたトランプが本命になろうとしている。誰も予想していなかった悪夢のようなことが現実味を帯びているのだ。
伝えられるトランプの発言を聞けば、あきれるものばかり。そんな人物をあえて国のトップに選ぼうとしているアメリカ国民の闇の深さに驚く。
共和党そのものが民意を反映せず民衆から遊離していることが本質的な問題。その既成政党への不満を利用して、口悪く煽り、メキシコなどの他国やイスラム教徒へ不満と「憎しみ」を向けさす手法は、政治家として犯罪にあたいする。民衆の不満を煽って瞬く間に独裁国家を作り上げたナチスのヒトラーと重なるからだ。
トランプの暴言は居酒屋で酔っ払ったおっさんのボヤキであっても笑えない。それを大統領選挙でやるのだから、笑えない。
最終的には、アメリカの常識が発揮されるだろうけど、それを期待するしかない。
ヨーロッパでも難民への対応を巡ってトランプ現象に似たものが起きている。シリア難民の排斥を叫ぶ極右政党がドイツで躍進する。キナ臭い世界情勢が気にかかる。
平和や民主主義や人権は、理性で成り立つているもの。
ひとたび良識のタガを外してしまえば、とめどなく崩れ去ってしまう。
だから、「大統領候補が言ってるんだから」と、心のストッパーを奪ってしまうトランプの罪は限りなく深い。
トランプ現象の背景には、経済格差拡大への不満が根底にあることは理解できるが、そうだとしても、カネで心を奪われるのは人としてあまりにも寂しい。
笑えない悪夢がアメリカでは現実になろうとしている。